徳島県が発行するプレミアム商品券の抽選方法について、「不公平」との声が上がっている。申し込み上限の4セット当選した県民がいる一方、1セットも当たらなかった人が相次いだためだ。購入希望者の数は発行枚数より少なかったが、なぜ「泣き」を見る人が続出してしまったのか……。
「クリーニングにも使えるから申し込んだけど、落選だった。1セットでも当たれば、うれしいのに。不公平すぎるよね」。徳島市内の60代の女性美容師はこぼす。
抽選が実施されたのは、理美容店やクリーニング店、銭湯で使える「徳島プレミアム生活衛生クーポン」と、交通機関で使える「とくしまプレミアム交通券」。いずれも、1セット500円券10枚を2500円で、徳島県内在住者は4セットまで購入できる。差額分の財源は国の地方創生臨時交付金でまかなわれる。
7割落選 「0か100か」の狭き門に
人気が高かった生活衛生クーポンには10万セットに対し、9万4326人から34万886セットの申し込みがあった。当選者は2万7687人で、3・4人に1人が当選。希望者の7割以上が落選する「狭き門」となった。申込者は発行予定セット数を下回っており、計算上は1人最低1セットが行き渡るはずだ。どういう抽選方法が実施されたのか。
担当した県安全衛生課によると、抽選で当選した購入希望者のセット数を順次足していき、発行予定の約10万セットに達するまで繰り返した。結果、当選者は希望セット数が100%割り振られるのに、落選者には1セットも割り振られない「オールオアナッシング」の状況が生じた。抽選は公平に行われたが、配分方法では「公平性」に疑問が残った。
公平性重視の自治体「税金使っているので」
配分の「公平性」を重視した自治体もある。2021年8月に市民向けのプレミアム付き地域商品券を発行した徳島県小松島市だ。
小松島市の場合、当選者に申し込み希望数をすべて割り当てず、抽選した。同様に申し込み者数(1万6198人)が発行する2万セットを下回ったため、まず申し込み者全員に各1セットを配分。そのうえで残る3802セットについて、2セット以上を希望していた1万5230人に抽選を実施し、当選者を決めた。「全滅」の市民はゼロだった。
担当者は「税金を使っている事業なので、商品券が多くの市民に行き渡るような方法をとった」と説明した。
抽選方法について、徳島県の担当者は「事業継続の応援が狙いなので(利用期間の)4カ月間に継続的にお店で使ってほしかった」とし、希望した申込者に上限の4セットが届く配分方法をとったと説明する。配分の不公平を指摘する声については「そういう考え方も分かるので、今後、同様の事業を実施する際には検討したい」と話した。
徳島県が生活衛生クーポンを発行するのは2回目。先着順で販売した昨年6月は発売初日で売り切れ、「買えなかった」という苦情が相次いだ。そのため今回は抽選で、公平に当選者を決める方法に改めた経緯があった。
徳島県が発行する「『とくしまグルメ』プレミアム食事券」を巡っても、店舗の閉店・廃業時などに返金されないなど、利用者目線の弱さが指摘されている。【植松晃一】