大麻を栽培する目的で欧州から種子を輸入したとして、警視庁は4日、東京都と神奈川県内の20~50歳代の男女21人の自宅などを大麻取締法違反(栽培予備)容疑で捜索し、その後、大麻所持容疑などで全員を逮捕・書類送検したと発表した。警視庁は、ネットを通じた種子の輸入が国内の大麻乱用の温床になっているとみて、一斉捜索に踏み切った。
栽培予備容疑で警視庁が一斉捜索…男女21人摘発
大麻取締法では、大麻の種子の所持や販売は禁止されていないが、栽培などの罪を犯す目的で種子を準備する行為は「栽培予備罪」に該当する。
発表によると、21人は会社員やアルバイト、自営業の男女らで、捜索容疑は、昨年から今年にかけて、いずれも欧州から栽培する目的で大麻の種子を輸入した疑い。
警視庁は、若者らによる大麻の使用が後を絶たないことを受け、昨春から栽培目的で種子が輸入されているケースがないか情報収集を開始。その結果、英国やオランダなど欧州から種を個人輸入するケースが多数あることを確認した。
輸入する大麻の種子は、発芽しないよう熱処理することが義務づけられているのに、処理が行われていない疑いがあることも判明。栽培目的で種子を輸入している疑いが強まったとして捜索令状を取り、昨年10月以降、21人の自宅などに捜索に入った。
捜索では、種子のほか、栽培に用いられる照明器具や大麻草などが見つかり、押収された。その後の捜査で、警視庁は21人のうち11人を大麻取締法違反(栽培)容疑などで逮捕し、残る10人についても同法違反(栽培予備)容疑などで書類送検した。その後、計9人が同法違反などで起訴されているという。
警視庁の調べに対し、21人はいずれも容疑を認め、「大麻を自分で育てるために輸入した」「育て方をネットで調べた」などと供述した。
インターネット上には、大麻の栽培方法を載せたサイトが多数ある。このため、大麻を外国から密輸するのではなく、種子を輸入して栽培し、自分で使用したり、販売したりするケースが増えているという。
種子の輸入について栽培予備容疑を適用し、輸入した人物の自宅などを捜索する手法は、今後、他府県警にも広がっていく可能性がある。警視庁幹部は「大麻の
蔓延
(まんえん)を食い止めるため、引き続き捜査に力を注いでいく」と話している。
若者への蔓延が深刻化
警察庁によると、昨年1年間に全国で摘発された大麻事件の容疑者は5482人で、8年連続で増加した。20歳代が51%(2823人)を占め、20歳未満も18%(994人)に上った。20歳未満は2012年の66人から約15倍に増えており、若者への
蔓延
(まんえん)が深刻化している。
背景には、「健康に害はない」といったインターネットやSNSの情報を信じる若者が少なくない実態がある。だが、大麻は有害成分が脳に影響を与え、幻覚や記憶障害を引き起こすことがある。大麻の使用をきっかけに覚醒剤など他の違法薬物に手を染め、薬物中毒に陥るケースも多い。
警察当局は取り締まりを強化するほか、小中高校で薬物乱用防止教室を開くなどして、若者らへの啓発を強化している。