5日までの大雨により福井県南越前町で発生した多数の住宅浸水は、河川の合流点付近で起きた「バックウオーター現象」が原因とみられる。大雨による増水で川の本流の水位が上昇し、本流に流れ込む支流の水が合流点でせき止められたり、逆流したりする現象だ。合流点や支流側で堤防決壊を引き起こす原因となり、2018年7月の西日本豪雨や、20年7月の九州豪雨でも確認されている。
南越前町のケースでは、大雨で本流の1級河川・日野川の水位が一気に上昇したことで、支流の鹿蒜(かひる)川の水がうまく流れ込めず、合流点の南越前町で氾濫が起きたとみられる。
九州大の矢野真一郎教授(河川工学)によると、本来は小規模な支流の方が本流より先に水位が上がりやすい。しかし、近年は大きな線状降水帯の発生などによって広い範囲で長時間にわたって強い雨が降り続くため、本流と支流の水位が同じように上がって、バックウオーター現象が起きやすくなっているという。
一般的に、流れの少ない支流は、本流に比べると洪水対策が簡易な場合が多い。矢野教授は「近年起きやすくなっている気象現象に、これまでの河川整備のやり方が通用しなくなっている」と指摘する。【柳楽未来、菅沼舞】