「発射コースの真下は与那国の漁場だ」 中国演習、危機感が募る“国境の島” 書き入れ時に出漁自粛

中国軍が台湾周辺で大規模な軍事演習を始めた影響で、沖縄県与那国町の全漁業者が5日、出漁自粛を余儀なくされた。4日の弾道ミサイル落下を受けて、自粛の必要はないとした当初の方針を転換した形だ。
町漁業協同組合の嵩西茂則組合長によると、島の南北の海域に落下したうちの一つが島の近海をまたぐ形で落下。「発射コースの真下は与那国の漁場だ。破片が落ちる可能性や途中で落下することも考えられる。万一を想定してやめた方がいいとの判断だ」と危機感を訴えた。
当初は、現在シーズンを迎えている近海漁と演習海域との間に最短でも50キロ近い距離があることから、漁の自粛については求めない方針だった。
弾道ミサイル落下を受けて8日まで自粛期間とし漁業者の安全を確保する措置を取った。だが嵩西組合長は「6日以降、漁に出る船はあるだろう」と見通す。
本来なら旧盆前の書き入れ時で、嵩西組合長も「漁をするなとは言えない。苦しいところだ」と、近海に限り緩和の必要性を示唆する。ただ、その場合は「自己責任だ」と伝えている。
これに40代の漁業者はしかめ顔だ。「何かあった時は自己責任。動こうにも動けず途方に暮れている」と嘆いた。(八重山支局・粟国祥輔)