前日に県北部で大雨、「この地域は影響なく」沢登りツアー開催…急な増水で川に50人取り残される

6日午後0時35分頃、滋賀県東近江市杠葉尾町の神崎川で、沢登りのツアーの関係者から「客が川に取り残されている」と110番があった。県警東近江署や東近江消防本部によると、2団体のツアー客50人が増水した川に取り残されており、消防隊員が現場に向かい、約3時間50分後、全員が救助された。命に別条はないという。
神崎川の滝や沢を巡るツアーを開催した2社のうち、1社の社長は読売新聞の取材に「気象庁の予報や雨雲レーダーを逐次チェックしているが、滋賀に大雨が降る気配はなく開催した」と説明。県北部は前日に大雨に見舞われたが、「(東部の)この地域では影響はほとんどなく、川の水位も普段とほぼ同じだった」と述べた。
しかし、正午過ぎに急激に増水したため、川に入っていた16人を対岸の安全な山手へ誘導したという。
また、約3・8キロ下流の愛知川でも、兵庫県伊丹市からキャンプに来ていた会社員男性(45)とその子ども2人の計3人が川の中州に取り残されたが、救助された。けがはなかった。東近江署によると、3人は、川が増水し、岩場で身動きが取れなくなっていた。
国土交通省のデータによると、付近の水位は午前11時に68センチだったが、午後1時にかけて138センチまで一気に上昇した。
「天気の急変、夏は注意」

川の急な増水で中州などに取り残されるケースは相次いでいる。専門家は「気象情報をよく確認し、安全を考えた装備が大切」と呼びかけている。
兵庫県加東市の加古川では先月、男女7人が中州に取り残され、消防のヘリコプターで救助された。上流で直前に降った大雨で川が急激に増水し、中州に渡る橋が水没したという。
水難事故の調査研究を行う一般社団法人「水難学会」の斎藤秀俊会長は「自分がいる場所が晴れていても、上流で局地的豪雨が起きれば、危険に巻き込まれる。特に天気が急変する夏場は注意が必要」と指摘する。そのため、上流や周辺の気象情報を細かくチェックし、川に入る際は必ずライフジャケットを着用することを呼びかけている。