「絶望と無力感の4年」 群馬県防災ヘリ墜落、遺族らが9人を追悼

群馬県中之条町の山中で2018年、県の防災ヘリコプター「はるな」が墜落し、乗員9人全員が死亡した事故から丸4年を迎えた10日、県は現場近くの渋峠と前橋市の県消防学校の2会場で追悼式を営んだ。遺族や山本一太知事、ヘリの運航委託先だった東邦航空(本社・東京都)の関係者ら計約160人が両会場に参列し、事故が発生した午前10時1分に黙とうをささげた。【川地隆史】
渋峠の会場では、吾妻広域消防本部に所属した田村研さん(当時47歳)の父で遺族代表の富司さん(81)が「絶望と無力感の4年間だった。遺族にとって事故現場は特別な場所。容易に訪れることができず、一日も早い慰霊登山道の開設をお願いしたい」と訴えた。
また、同消防本部の黒岩博さん(当時42歳)を亡くした母親(72)は「寝ても覚めても悔しい、諦めきれない。しっかりと安全管理をしていれば防げた事故だった」とやりきれない思いを語った。
山本知事は追悼の辞で、「墜落事故で殉職された9人のご冥福を祈る。遺志に応えるため、防災航空体制の安全管理に全力を尽くす」と述べた。県は今年度の当初予算案で慰霊登山ルートの新設費用などに約9900万円を計上し、現在はルートの選定などを進めている。