お盆移動で地方医療逼迫も 濱田篤郎特任教授懸念

内閣府が発表した11日時点の都道府県別の新型コロナウイルス感染状況を示す指標によると、41都府県で感染者向け病床の使用率が50%以上となり、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)が目立った。神奈川、静岡、愛知では80%を上回った。重症患者向け病床の使用率は東京(66%)と京都(55%)を除いて50%以下に抑えられているものの、お盆期間中の人の移動に伴って感染が拡大し、悪化する懸念もある。
感染者向けの病床使用率は、北海道、山形、富山、福井、鳥取、島根の6道県を除き50%以上となった。神奈川は94%、静岡と愛知はともに82%だった。
東京医科大の濱田篤郎特任教授は「地方都市で帰省をきっかけとした高齢者の感染が拡大すれば、もともと少ない病床の逼迫が増えてくるかもしれない」と指摘。移動前に主要駅や空港での抗原検査を活用するなどして警戒を強化するように呼びかけた。
10万人あたりの新規陽性者数は依然として多くの地域で拡大傾向が続いているが、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県では前週よりも減少。濱田氏は「首都圏ではピークを越えたようにも見えるが、お盆休みの影響で再び増加に転じる恐れも十分にある」と話す。
一方、毎週金曜日に厚生労働省がホームページ上に掲載してきた都道府県の医療提供体制の現状を示すデータが12日には発表されなかった。これについて濱田氏は「厚労省の指標を基に対策を検討している自治体もあるため、定期的な更新が途絶えるのは望ましくない。行動制限はないとしても、爆発的な流行の最中なので積極的な情報提供が必要だ」と語った。