「体の上に乗ってきた」福井でまたイルカ被害 男性かまれる

福井県内で海水浴客が野生イルカにかまれる被害が相次いでいる。福井市内の海水浴場では7月に海中にイルカが嫌がる超音波発信器を取り付け、いったん被害は収まったが、8月6日から再び被害が確認された。福井県警は13日に海水浴場などでチラシを配って海水浴客らに注意を呼び掛けたが、同日にも県内の男性が腕をかまれる被害があった。
県警によると、7月24日~8月12日に越廼(こしの)海水浴場(福井市蒲生町)と鷹巣海水浴場(同市浜住町)など3カ所で、イルカによる被害が計17件発生。イルカは波打ち際まで来ることもあり、被害の大半は岸から10メートル以内で起きているという。またケガは軽傷が多いものの、中には左手の親指の付け根あたりをかまれ、14針縫うケガをした例もあった。イルカは一般的に体長約2メートル、体重200キロほどで、体当たりされれば死ぬ恐れもあるという。越前松島水族館(福井県坂井市)によると、目撃されているイルカはミナミバンドウイルカとみられ、体の特徴などから同一個体と考えられるという。
被害は13日にも発生。鯖江市の60代男性会社員は鷹巣海水浴場で岸から3~4メートル付近を泳いでいたところ、イルカに右腕をかまれた。「ニュースで知っていたのでイルカを見かけたらすぐ海から上がるつもりだったが、気付いたらそばにいた」と振り返る。イルカがかみついて離さなかったため、口を手でこじ開けて逃げようとしたが、今度は体の上に乗ってきて海中に沈みかけたという。男性は「パニックになったが、近くの人が追い払ってくれて助かった」と話した。
越廼海水浴場で浜茶屋を営む岩佐立身さん(71)は「イルカは初めは人の体を押す程度だったのが、最近は人の上に乗るなど行動がエスカレートしている」と指摘する。超音波発信器を設置した鷹巣観光協会は、海水浴場を閉める8月末には機器を取り外す予定で、小玉征子会長(77)は「最近は暑く、秋も泳ぐ人がいるので心配だ」と話す。
福井南署の仲保雄一副署長は「イルカは浅瀬でも寄ってくる。見かけたら速やかに浜に上がり、近づかないようにしてほしい」と注意を呼び掛けている。【国本ようこ】