消費税増税を前に、家電製品や宝飾品、冬用タイヤなどの駆け込み需要が増えている。高額商品は税率が2%アップすれば、価格も一定の幅で上がる。関係者は「少しでも安く買いたいという消費者意識が働いている」と話している。
「東京五輪をきれいな映像で見たい。増税前がタイミングだと思った」。今月18日、大手家電量販店ビックカメラなんば店(大阪市中央区)のテレビ売り場では、エステサロン経営の50代女性が超高精細映像の4K放送に対応した大型テレビを品定めしていた。同店では、1日あたりのテレビの売り上げ台数は9月に入り急増し、前年と比べ3~4倍に上る日もあるという。
市場調査会社BCNによると、9月第1週(2~8日)のテレビの販売台数は前年同期と比べ77.4%増加。2014年4月の前回増税時の同時期(3月第1週、44.8%増)を上回っており、駆け込みは9月第4週がピークになるとみている。
東京・銀座の百貨店「松屋銀座」では指輪やネックレス、腕時計など高額商品を中心に売り上げが好調だ。指輪などの宝飾品と腕時計の売り上げは前年同月比1.9倍。宝飾品は真珠のネックレスなどの定番商品が人気で、腕時計は高額なハイブランド商品が購入されているという。
同店は宝飾品売り場で割引商品を集めたフェアを開催しており、広報課の福原裕紀さんは「これまで買うか迷っていた人がこのタイミングで決断する場合が多いようだ。増税前、最後の土日となる今週末は多くの人の来店が見込めるので、購入を後押ししたい」と話している。
タイヤ店も「駆け込み商戦」を繰り広げる。「どうせ履き替えるなら増税前に」という客もおり、早くも冬用タイヤの売り上げが伸びている店もある。
タイヤ館福岡西(福岡市西区)では「今が買い時」「タイヤを買うなら増税前!」と大書した看板を掲げてアピールしている。9月の冬用タイヤの注文は例年1、2件しかないが、今年はすでに10件を超え、夏用タイヤと合わせると、売り上げは前年比で3、4割増しているという。
店長の渡辺允敏(まさとし)さん(39)は「タイヤ市場は通常、9月は閑散期とされるが、今年は前倒しで需要が伸びている。逆に増税後は落ち込みが予想されるので、今のうちに頑張りたい」と気を引き締める。
自家用車のタイヤ交換に訪れていた同市早良区の会社員、古迫隆之さん(59)は「換えるなら増税前にと思って」と話した。
ただ今年8月、物流費高騰を理由に国内の大手タイヤメーカーが市販用タイヤを一斉値上げしたため、7月に値上げを見越した駆け込み需要があった。日本自動車タイヤ協会によると、このため8月の市販用タイヤの販売本数は乗用車用で前年比96.8%にとどまった。担当者は9月についても「消費税の駆け込み需要を踏まえても、前年比増となるかは微妙だ」と話した。【釣田祐喜、安達恒太郎、平川昌範】