名古屋市緑区の特別養護老人ホーム「緑生苑」で、入所者の女性が死亡した事件で、暴行があったとみられる時間帯は、傷害致死容疑で逮捕された元職員の福島栄行(ひでゆき)容疑者(34)が、入所者からの呼び出しに一人で対応していたことが19日、施設関係者への取材で明らかになった。福島容疑者は「イライラしていた」と供述していることも判明。愛知県警は、頻繁に呼び出しを受けるなどしてストレスを感じた容疑者が、衝動的に暴行に及んだ可能性があるとみて追及する。
福島容疑者は2021年3月、ショートステイを利用していた角谷(すみや)三枝子さん(当時81歳)の両足や背中、腰などを蹴るなどして死亡させたとして、今月17日に逮捕された。角谷さんは両足のすねを骨折し、左半身を中心に頭や背中、腰などに内出血があった。
事件があった3月5日深夜から6日朝にかけて勤務していた職員は計4人。3フロアに職員を1人ずつ配置し、統括する夜勤リーダーが1人いた。福島容疑者は角谷さんがいた3階を担当し、業務が重なったときは夜勤リーダーが対応することもあったという。
施設関係者や事故報告書によると、角谷さんは5日に入所。6日午前3時すぎまで異変はなかったが、4時ごろに足や頭の痛みを訴えた。夜勤リーダーは3時ごろから約1時間半の仮眠を取っており、福島容疑者がこの間、3階に入所していた約30人の介助を一人で任されていたという。
角谷さんのベッドにはセンサーが付いており、マットを離れると呼び出し音が鳴り、職員が様子を見に行っていた。当日は3時以降、5~10分おきにセンサーが作動した記録があり、福島容疑者は施設の聞き取りに「頻繁に鳴るので対応に困った」と話したという。
福島容疑者はいらだちを感じていたという趣旨の供述をしており、県警は当時の勤務状況や角谷さんとのやり取りなどについて詳しく調べる方針。他の入所者が暴行を受けた形跡はなかった。【森田采花】