日鉄シアン流出、3年以上 公表しなかった理由は「調査中」

日本製鉄東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)から毒性の強いシアンが流出した問題で、流出は少なくとも3年前から続いていたことが判明した。日鉄は水質検査でこうした問題を把握していたものの、県や近隣住民などに説明してこなかった。18日に県庁で記者会見した同製鉄所の谷潤一所長は釈明に追われた。同社のコンプライアンス(法令順守)意識が問われている。【山本佳孝、石川勝義】
日鉄や県によると、2019年2月~22年4月に実施した排水口の水質検査でシアンが39回検出されていた。いずれも工場敷地の北西部にある排水口で、シアンは東京湾に流出していたとみられる。
シアンは工場内の高炉の処理水に含まれている。本来は排水されずに循環する仕組みになっているが、何らかの理由で排水に混入したとみられている。8月中旬に流出防止対策を済ませたという。
検査結果の公表義務はないが、対策をしないまま操業を続けることは法律で認められていない。県は日鉄から報告がなかったことについて「重大な事案で大変遺憾」と苦言を呈した。日鉄側も記者会見で「不適切だった」と対応に問題があったことを認めた。
一方、6月に脱硫液の流出問題を起こした後の情報公開のあり方にも問題があった。
日鉄は7月1日に実施した複数回の水質検査結果について、高い方の検出値(1リットルあたり0・98ミリグラム)は伏せ、低い方の値(同0・5ミリグラム)だけを県に報告。翌2日に9回実施した水質検査でも7回シアンを検出したものの、残る2回の結果に基づき「不検出」と県に報告していた。
谷所長は「高い数値も含めてすべて報告すべきだった」と釈明。ただ、3年以上もシアン流出を伏せてきた理由については「調査中」を繰り返した。