元理事、AOKIを早期内定か スポンサー選定で優先 五輪汚職

東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー選定を巡る汚職事件で、受託収賄容疑で逮捕された大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)が、選定段階でAOKIホールディングス(HD)を早期に組織委側に紹介して「内定」を与えていた疑いがあることが関係者への取材で判明した。国内スポンサーは3ランクに分かれ、原則上位からスポンサーが決まっていく仕組みだったが、最も低いランクに入ろうとしていたAOKIHDは上位のランクの企業が決まりきる前に元理事から内定を伝えられたとみられる。
東京地検特捜部は、元理事が同社の正式契約の1年以上前にスポンサーに内定させたとみて、組織委の清算法人から押収した資料を分析し、当時の選定状況を詳しく調べている模様だ。
国内スポンサーは、ゴールドパートナー(ティア1)、オフィシャルパートナー(ティア2)、オフィシャルサポーター(ティア3)の順に3ランクに分かれている。2014年1月に発足した組織委はスポンサー集めの「専任代理店」として大手広告会社「電通」に業務委託。電通はスポンサー料(協賛金)の規模が大きいティア1から順番に契約を進めた。
関係者によると、元理事は17年1月、AOKIHD前会長の青木拡憲(ひろのり)容疑者(83)=贈賄容疑で逮捕=と面会し、スポンサーになる意向を確認したとされる。元理事はティア3の協賛金の基準額を15億円として半額の7億5000万円を打診し、前会長は了承したという。ただ、当時はティア2の選定が中心的に行われていた。
両者は面会を重ね、同年夏までに7億5000万円のうち2億5000万円を元理事が推薦する競技団体の強化費として先払いすることで合意。この過程で元理事はAOKIHD側に内定を伝える一方、組織委側には差額の5億円を協賛金として同社を紹介した疑いがある。この時期はまだ、ティア2で契約に至らない企業も少なからずあった。AOKIHDは18年10月、正式に5億円でティア3に決まった。
今回の事件で元理事は17年1月ごろから、前会長ら贈賄側のAOKIHD幹部3人からスポンサー選定などで有利な取り計らいを受けたいとの依頼を多数回受け、17年10月~今年3月に計5100万円の賄賂を受け取ったとして逮捕された。元理事は逮捕後も容疑を否認しているという。【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、島袋太輔】