全数把握見直し、政府の説明不足で混乱 自治体と方針共有されず

新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しを巡り、国と自治体の間で混乱が生じているのは、国内で感染動向を把握する仕組みを今後どのような段取りで見直していくのか、岸田文雄政権が具体的に説明できていないことが大きい。想定外に第7波が長引く中、政権は「緊急避難措置」として自治体の手挙げ方式による見直しを認めたが、対応の中途半端さもあり、かえって反発を招いている状況だ。
「全国知事会などから早急に見直してほしいとの話があったので検討した。(各知事が)それぞれの状況に応じて判断いただければいい」。加藤勝信厚生労働相は26日の記者会見で、自治体の要請を受けた対応だと強調。自治体からは「丸投げだ」との批判も出るが、首相官邸関係者は「地方の要望を踏まえた結果なのに」と不快感を示す。
こうした混乱は、政権の説明不足が招いた面がある。厚労省は当初、政府の情報把握システム「HER―SYS(ハーシス)」を改修し、医療現場が新たに年代別感染者数を簡易に入力できるようにした上で、届け出対象者の限定を本格運用する予定だった。ただ、ハーシス改修は9月中旬までかかる。このため改修に先立って、手集計でファクスなどでの報告も認めるとしたのが24日の首相の発表だった。だがハーシスの改修完了時期やその後の対応には一切、言及がなかった。
政府内では、ハーシス改修後は、全国一律で年代別感染者数の簡易入力を求める一方、詳細な患者データの届け出対象者を絞るか、従来通り全数把握を続けるかは、自治体が選べるようにする案が有力だ。新たな監視体制として定点把握が導入された場合も、同じように自治体が判断できる見通しだが、これらの方針も自治体とは公式には共有されておらず、不満の一因となっている。【神足俊輔、横田愛】