容疑者は女装も 服装を10回替えて移動か 大阪・高槻女性殺害

大阪府高槻市で会社員の高井直子さん(当時54歳)が自宅の浴槽で殺害された事件で、高井さんの養子で無職の凜容疑者(28)=殺人容疑などで再逮捕=と酷似した人物が事件当日、約10回服装を替えながら東京都内の当時の自宅マンションと高井さん宅周辺を日帰りで往復していたことが捜査関係者への取材で判明した。この日朝に自宅を出た際は女装しており、一連の動きは各地の防犯カメラ映像に記録されていた。
足取り隠すため?スマホは自宅に
また、凜容疑者は自宅にスマートフォンを置いたまま外出し、連絡が取れない状態になっていたことも明らかになった。大阪府警はいずれも詳細な足取りの発覚を免れる目的で計画的に準備していたとみている。
府警によると、凜容疑者は2021年7月22日午後、高井さんを浴槽に沈めて溺死させた疑いが持たれている。保険金目的だったとみられ、高井さんにかかっていた生命保険約1億5000万円の受取人になっていた。捜査で保険金の支払いは停止されたが、高井さんの預貯金など約1億円は相続されている。
捜査関係者によると、東京や大阪の複数の防犯カメラ映像を捜査したところ、凜容疑者によく似た人物が22日朝、自宅マンションから女装姿で外出する様子が映っていた。長髪のウイッグ(かつら)をかぶり、女性用の上着やズボンを着用していた。午前9時15分ごろには都内の量販店に移動し、トートバッグなど計4点を買っていた。府警はバッグ購入が変装グッズを隠す目的だったとみている。
その後、新幹線や在来線を乗り継いでJR高槻駅で降車し、高井さん宅方面に自転車で向かう姿も確認されている。この間に頻繁に着替えを繰り返したとみられ、パーカや長袖シャツ、Tシャツなど異なる服装が映っていたという。
同一と疑われる人物の姿は午後3時ごろから、高井さん宅周辺の防犯カメラ映像に捉えられている。短パン姿で、サングラスやマスク、帽子を着用。右手は手袋を身につけ、左手に粘着テープのようなものを持って何度も行き来する不審な行動を取っていた。
府警は映像の解析で、この人物が午後4時から約2時間にわたり高井さん宅に滞在していたと判断。高井さんはこの時間帯に殺害された可能性がある。
一方、凜容疑者の自宅に出入りしていた知人はこの日、凜容疑者のスマホが自宅に残されていることに気付いた。知人は府警に「連絡が取れなくなったので心配だった」と話し、凜容疑者が夜まで帰宅しなかったことも証言した。府警は、凜容疑者がスマホの位置情報機能から自身の行動経路が特定されないよう放置した疑いがあるとみている。
凜容疑者は逮捕前の任意の事情聴取に、「ずっと家にいて大阪に行っていない」と関与を否定。再逮捕後はいずれの容疑も黙秘しているという。【郡悠介、洪香】