日本人初、小笠原海溝の最深部9801m到達…60年ぶり更新「超深海の新たな研究の幕開け」

日本周辺で水深6000メートルを超える「超深海」を調査している名古屋大などの研究グループは、名大の

道林
(みちばやし)

克禎
(かつよし)教授(57)(地質学)が潜水船で小笠原海溝の最深部9801メートルに到達したと発表した。名大によると、60年ぶりに日本人の最深潜航記録を256メートル更新した。
道林教授は13日午前8時頃、小笠原諸島・父島の北約250キロの海域で、パイロットの米国人探検家ビクター・ベスコボさん(56)と2人乗りの小型潜水船に乗船。約4時間かけて水深9801メートルの泥に覆われた海底まで潜航し、窓から地形のほか、深海で生きるナマコやヨコエビなどを約2時間半にわたって観察した。海面に浮上したのは午後5時20分頃だった。
日本列島の南にある小笠原海溝は、これまで最深部の水深が9780メートルと考えられていたが、今回の調査で、さらに21メートル深いことも分かった。道林教授は「60年ぶりの記録更新は研究者

冥利
(みょうり)に尽きる。超深海の新たな研究の幕開けになる」と話した。
名大によると、日本人の最深潜航記録は、1962年に東京水産大(当時)の佐々木忠義教授が千島・カムチャツカ海溝で到達した9545メートルだった。