BA.1対応「オミクロンワクチン」打つ意味あるのか 日本は「BA.5」ワクチンを打つ機会を逃すのか?

8月22日と翌23日、ファイザーとモデルナがアメリカ食品医薬品局(FDA)に対し、オミクロン株「BA.4」「BA.5」両系統に対応したワクチンの薬事申請を相次いで行った。両社とも従来の新型コロナワクチン(武漢型対応)と混合した2価ワクチンとして、9月の供給を見込んでいる。 日本でも「オミクロン対応2価ワクチン」は、10月中旬以降に接種開始の予定だ。若い人を含む2回以上接種を終えたすべての人が接種対象となる。 だが問題は、そのワクチンは、両社が今回FDAに申請したものと違い、8月初旬に国内で薬事申請されたもの、という点だ。つまり現在、国内外で猛威を振るっている「BA.5」系統ではなく、最も初期のオミクロン「BA.1」系統をベースに設計されている。 このまま「BA.1ワクチン」で接種が行われた場合、はたして十分な効果は得られるのか。一方で、私たちは「BA.5ワクチン」を接種する機会を逃すのだろうか。 「BA.1ワクチン」でも中和抗体価は6倍に上昇 「BA.1ワクチン」でBA.5に対抗できるのか、疑問が生じるのも無理もない。実際、最近の新型コロナの患者さんは、「春頃、おそらくBA.1にかかったのに、また感染した」というケースが少なくないのだ。 BA.5は、BA.1と比べて「免疫回避」が起きやすい。過去の感染やワクチン接種によって獲得した「中和抗体」の攻撃を、ウイルスが実質的にかわしてしまう。第7波が過去最大の爆発的流行となったのは、再感染やワクチン接種者の感染が大幅に増加していることも大きい。 モデルナによれば、同社が開発・承認申請中のBA.1ワクチン(2価)では、4回目接種の前後で、BA.4およびBA.5に対する中和抗体価は平均6.3倍(5.7~6.9倍)となった。このワクチンには、従来ワクチンの成分25μgとBA.1対応成分25μgが含まれる。 ファイザーも、同社のBA.1ワクチンについて、「BA.4およびBA.5に対しても中和能力が示された」とした。ただし、「BA.1への効果より低い」という。なお、同社のBA.1ワクチン(2価、BA.1対応成分15μg)の接種前後で、BA.1に対する中和抗体価は9.1倍となったという。 BA.1ワクチンであっても、追加接種を受けないより受けたほうがBA.5への防御力が高まるのは間違いなさそうだ。 では、今まさに従来ワクチンの4回目接種を目前に控えた人はどうすべきか。あえて10月中旬以降まで先延ばしにして、BA.1ワクチンを待つ、という考えもある。 従来ワクチン「4回目接種」は受けずに待つべき?

8月22日と翌23日、ファイザーとモデルナがアメリカ食品医薬品局(FDA)に対し、オミクロン株「BA.4」「BA.5」両系統に対応したワクチンの薬事申請を相次いで行った。両社とも従来の新型コロナワクチン(武漢型対応)と混合した2価ワクチンとして、9月の供給を見込んでいる。
日本でも「オミクロン対応2価ワクチン」は、10月中旬以降に接種開始の予定だ。若い人を含む2回以上接種を終えたすべての人が接種対象となる。
だが問題は、そのワクチンは、両社が今回FDAに申請したものと違い、8月初旬に国内で薬事申請されたもの、という点だ。つまり現在、国内外で猛威を振るっている「BA.5」系統ではなく、最も初期のオミクロン「BA.1」系統をベースに設計されている。
このまま「BA.1ワクチン」で接種が行われた場合、はたして十分な効果は得られるのか。一方で、私たちは「BA.5ワクチン」を接種する機会を逃すのだろうか。
「BA.1ワクチン」でも中和抗体価は6倍に上昇
「BA.1ワクチン」でBA.5に対抗できるのか、疑問が生じるのも無理もない。実際、最近の新型コロナの患者さんは、「春頃、おそらくBA.1にかかったのに、また感染した」というケースが少なくないのだ。
BA.5は、BA.1と比べて「免疫回避」が起きやすい。過去の感染やワクチン接種によって獲得した「中和抗体」の攻撃を、ウイルスが実質的にかわしてしまう。第7波が過去最大の爆発的流行となったのは、再感染やワクチン接種者の感染が大幅に増加していることも大きい。
モデルナによれば、同社が開発・承認申請中のBA.1ワクチン(2価)では、4回目接種の前後で、BA.4およびBA.5に対する中和抗体価は平均6.3倍(5.7~6.9倍)となった。このワクチンには、従来ワクチンの成分25μgとBA.1対応成分25μgが含まれる。
ファイザーも、同社のBA.1ワクチンについて、「BA.4およびBA.5に対しても中和能力が示された」とした。ただし、「BA.1への効果より低い」という。なお、同社のBA.1ワクチン(2価、BA.1対応成分15μg)の接種前後で、BA.1に対する中和抗体価は9.1倍となったという。
BA.1ワクチンであっても、追加接種を受けないより受けたほうがBA.5への防御力が高まるのは間違いなさそうだ。
では、今まさに従来ワクチンの4回目接種を目前に控えた人はどうすべきか。あえて10月中旬以降まで先延ばしにして、BA.1ワクチンを待つ、という考えもある。
従来ワクチン「4回目接種」は受けずに待つべき?