穏やかな瀬戸内海、実は居眠り事故が過去10年で104件…「1人当直中」も多発

波がなぎ、陽光に映える島々が美しい瀬戸内海。風光

明媚
(めいび)な海には、実は大きな危険が潜んでいる。船舶の居眠り事故が過去10年間で100件を超えており、瀬戸内海の大部分を管轄する広島市の第6管区海上保安本部(6管)は10日まで「居眠り海難防止運動」を展開して船長らに安全航行を呼びかけている。(宮山颯太)
瀬戸内海は内海で波は穏やかだ。だが、大小の島々が点在し、潮流の速い場所が多数存在することから「航海の難所」とされる。船舶交通の要衝で、貨物船や旅客船、漁船など多くの船が往来しており、ほかの管区よりも事故が多い傾向にある。
6管のまとめでは、2012~21年の10年間に全国で発生した居眠り事故(全船舶)は530件で、うち2割に当たる104件が同管区内で起こっている。重大事故につながる恐れがあるなど同運動の「重点対象船舶」に指定している貨物船、タンカー、引き船などの居眠り事故は144件で、全体の5割に迫る69件が同管区内で発生しており、突出している。
このうち、59件が午後9時~翌午前6時の間に発生している。夜間の居眠り事故は「1人当直中」が97%を占める。自動

操舵
(そうだ)装置の使用や、座った状態でのかじ取りも、眠くなりやすく危険だという。
松山市沖では昨年1月13日午後11時頃、貨物船の航海士1人が座ったまま自動操舵で航行中に居眠りし、島の沿岸に乗り上げた。
三原市沖では同8月2日午前5時頃、砂利採取運搬船の航海士が居眠りし、停泊していたタンカーに衝突した。
6管航行安全課の乾野直規課長は「瀬戸内海は島や浅瀬が多く、集中力が途切れると事故につながる。ほんの数秒の居眠りが大きな事故に直結する」とした上で、「操船前に十分な休養を取るなど、居眠りに陥らない対策を講じ、常時、適切な見張りや船位確認を励行することを徹底してほしい」と話している。
船内チェック 安全指導

第6管区海上保安本部は10日まで「居眠り海難防止運動」を実施している。
初日の1日には呉市の天応港で、船員の労災事故防止を促す国土交通省の「船員労働安全衛生月間」(30日まで)に合わせ、同省呉海事事務所と合同で安全指導を行った。
瀬戸内海では8月、旅客船火災や遊漁船の座礁などが相次いでおり、天応(呉ポートピア)―江田島(切串)を運航するフェリー「さくら2」に乗り込んだ同事務所職員は船内の消火器の位置を重点的に確認。海上保安官は船長に事故の危険を示すチラシを渡して「夜間の運航は特に居眠りに気をつけて」と注意喚起した。山元直英船長は「基本を徹底し、今後も安全運航に努めたい」と話した。
期間中は、運航会社を訪問したり、船舶での立ち入り検査をしたりして居眠り防止などを呼びかける。