入管法改正反対掲げ、全国10カ所でデモ 「不当な収容やめて」

2021年に廃案となった出入国管理及び難民認定法(入管法)改正案の国会再提出に反対する市民団体主催のデモが4日、東京や名古屋、大阪、札幌など全国10カ所で行われ、計約500人(主催者発表)が参加し「改悪反対!」などと街中で訴えた。また、名古屋出入国在留管理局に収容中の同年3月に死亡したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の監視カメラ映像の全面開示も求め、抗議の声を上げた。
入管法を巡っては、国外退去処分を受けた外国人の入管施設での長期収容を解消する目的で政府が同年2月に改正案を提出。3回以上の難民申請者の強制送還や送還を拒む人の刑事罰を可能にすることなどを盛り込んだ。しかし、ウィシュマさん死亡の真相究明を求める野党が採決に反対。「国際的な難民保護の水準を満たさず、入管の恣意(しい)的な権限を拡大させる」などと批判が高まり、政府は同年5月に成立を断念し、事実上の廃案に追い込まれた。
こうした中、政府はウクライナからの避難民を法的に手厚く保護することを主眼に、秋の臨時国会に改正案を再提出することを検討しており、市民団体「入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合」は、長期収容者への対応を巡り「改悪」が懸念されるとしてデモを主催し、ツイッターなどで参加を呼び掛けていた。
この日、東京・上野では、ウィシュマさんの遺影を手にした妹ワユミさん(29)のほか、大学生や市民ら約180人が行進。冒頭、学生や市民でつくる団体「BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)」の新居慧子さん(19)=英ブリストル大1年=が「難民申請者であっても強制送還や刑事処罰、恣意的収容を可能にするものだ」などと法案を批判した。
また、新居さんはウィシュマさんの死の真相を究明し、入管収容施設での収容者の処遇を抜本的に改善するためにも、監視カメラ映像の開示が必要だと強調した。死亡直前の様子を収めた2週間分の記録があるとされ、遺族は国を相手取り映像の全面開示と損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こし、係争中だ。
残暑の中行われたデモ行進では、多くの人が手書きのプラカードを掲げた。「(母国に)帰らないんじゃなく、帰れないんです」と帰国すれば迫害の恐れがあると訴える人や、「日本で生まれて育った。どこへ帰れと言うの?」と強制送還に直面するクルド人の若者の声を代弁するメッセージも見られた。
行進終了後、ワユミさんは「皆さんの目指す目標が実現してほしい。姉のようなことが二度と起きてほしくない」と強調した。ナイジェリア出身の仮放免者、エリザベスさんは「岸田(文雄)首相はアフリカへの支援を約束したが、日本国内にもアフリカなどからの難民申請者がたくさんいる。彼らも助けてほしい」と訴えた。また、都内に住む30代の男性、ダンさんは「ウィシュマさんの死亡に懸念を抱いて参加した。外国人の(不当な)収容はやめてほしい」と話した。【和田浩明】