東京都の足立区生物園は、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に選定されているカミキリムシ「フサヒゲルリカミキリ」がさなぎから成虫となる「羽化」に成功した。このカミキリは飼育が困難で、国内の施設では2例目の成功事例という。
フサヒゲルリカミキリは体長2センチ弱。触角に房状の毛があり、体が光沢のある瑠璃色(紫がかった濃い青色)のため、この名前がついた。かつては北海道~中国地方で生息していたが、都市開発などによって生息地の草原や湿地が失われ、現在は岡山県の一部地域のみで確認されている。
生物園では環境省からの要請で2018年から伊丹市昆虫館(兵庫県)と連携して、このカミキリを飼育する事業を開始。だが、気温の変化に敏感であることや、山地に生える希少植物「ユウスゲ」を食べるという特殊な習性があることから飼育が難しく、約20匹の幼虫を育て始めたものの、いずれも翌春までに全滅してしまったという。
19年は幼虫を手に入れることができず、2度目の挑戦となった20年には、生物園の職員が岡山県の生息地に赴き、交尾を終えたメスを採取して卵を産ませた。約30匹の幼虫が誕生したが、これも環境が合わず、春までに全滅してしまった。
それでも生物園では昆虫館と飼育手法について情報交換を続け、エサの量を調整したり、温度や湿度を常に適切に保ったりするなどの試行錯誤を続けた。
この結果、昨年7月に昆虫館から約60匹を譲り受けた3回目は、今年6月に15匹の羽化に成功した。
生物園では、羽化した成虫に卵を産ませて、約180匹の幼虫を誕生させることにも成功したといい、この幼虫を飼育し、再び成虫へと育てていく考えだ。
生物園の関根雅史園長(52)は「飼育したカミキリの野生復帰も念頭に、まずは安定的に育てられる環境を整えていきたい」と話している。