大型で強い台風11号の九州最接近を控えた5日、各地で警戒が高まった。台風が付近を通過する長崎県の対馬や五島列島のほぼ全域には「避難指示」が発令され、避難を始める住民もいた。交通機関も5日夕以降から相次いで「計画運休」を実施するなどしたほか、6日には施設の休業や学校の休校も予定され、市民生活への影響も出ている。
「レストランもあるので食料は大丈夫だと思うけど……。被害が出ないことを祈りたい」。長崎県対馬市の厳原(いづはら)港近くの市街地にある宿泊施設「ツタヤホテル」の女性支配人は不安そうに話した。建物は鉄筋の頑丈な造りのため、台風前に複数の高齢者が旅行需要喚起策「県民割」を利用して避難。強風で窓ガラスが割れて利用者がけがをしないよう、窓ガラスに「×」の形で養生テープを張ったという。
気象庁は建物の一部が飛散するような猛烈な風に注意を呼び掛けており、同市にある「丸屋ホテル」は利用客に窓のかぎを締めてカーテンを閉じるよう協力を求めた。男性支配人(67)は「生ぬるい風が吹いているが、嵐の前の静けさのようで逆に怖い」と心配する。
九州・山口の自治体も市民に警戒を呼び掛けた。福岡市や北九州市は警戒レベル3に相当する「高齢者等避難」を発令し、避難所を開設。両市とも6日は市立学校を臨時休校にする。
交通機関の乱れも予想されている。
空の便では、6日に福岡空港を発着する多くの便が欠航。JR西日本やJR九州によると、九州新幹線は6日始発から博多―熊本間で運休し、熊本―鹿児島中央間で本数を減らす。山陽新幹線も広島―博多間が運休となり、新大阪―広島間は減便する。博多南線は6日夕方ごろまで運転を見合わせる予定だ。
JRの在来線も鹿児島線など九州北部を中心に、多くの路線で6日の始発から運休。山口県内を走る大半の在来線は午後まで運休し、台風の進路に応じて再開時間を判断する。福岡市地下鉄も、始発からの運転見合わせを決めた。
西日本鉄道(福岡市)は天神大牟田線と貝塚線で5日午後9時以降、順次運転を見合わせ、6日は始発から運休する。
同市中央区の福岡(天神)駅は5日夕方以降、家路を急ぐ利用客で混雑し、駅員が「台風の進路によっては運行計画が変わる場合がある」などとアナウンスしていた。会社員の男性(23)は「明日も午前8時半に出勤予定だがダイヤが心配。朝は早めに起きて確認したい」と話した。【中里顕、竹林静、清水晃平】