ロシアのビザなし交流破棄「30年以上前に戻った」北方領土元島民

北方領土に住む人と日本の元島民らが査証(ビザ)なしで相互訪問できる「ビザなし交流」の破棄をロシア政府が日本側に通知したことが明らかになった。新型コロナウイルスの感染拡大もあり、元島民らはこの3年間、訪問の機会を奪われてきた。平均年齢は86・7歳で高齢化が著しく、破棄の通知を受けて「時間がない」と焦りを募らせる人も少なくない。
元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟の脇紀美夫理事長(81)は6日、「極めて残念で遺憾。30年以上も前の状態に戻ってしまった。北方領土返還交渉と訪問事業の再開を(日本政府に)働きかけたい」と話した。
今回の破棄の通知には四島での墓参は含まれていない。同連盟の角鹿(つのか)泰司・根室支部長代行(85)は「墓参は人道的見地から止まらないと思うので、まずは墓参を再開してほしい」と政府に求めた。
北海道根室市の石垣雅敏市長(71)は職員への訓示で「30年以上時計の針を戻す行為は決して容認できない」としたうえで、「一度開いた扉は閉じ切ることはない。隣接地域として一喜一憂することなく、返還要求運動原点の地の役割を果たしていきたい」と述べた。【本間浩昭】