国葬費16億6000万円、方針転換し公表…首相「試算でいいから」と指示

安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)の経費について、政府は6日、総額16億6000万円程度を見込んでいると明らかにした。金額が確定した国葬後に示すとしていた当初の方針を転換したのは、開催意義に関して理解を広げる狙いがある。岸田首相は、近く開かれる国会の閉会中審査に出席し、改めて説明する考えだ。
「丁寧な説明を尽くすという観点から、仮定の上で試算を行った。各国から様々な連絡が来るなど、状況が少しずつ明らかになった」
首相は6日、首相官邸で記者団に、国葬実施前に費用の概算を公表した理由を、こう説明した。関係者によると、首相は数日前、事務方に「試算でいいから」と関連費用をまとめるよう指示していたという。
政府は8月26日、閣議で、国葬の会場設営費などとして、今年度予算の予備費から2億4940万円を支出すると決定した。ただ、警備や海外要人の接遇費などを含めた総額については、「要人の数や警戒警備に当たる警察の部隊の規模などが不確定だ」(松野官房長官)として、国葬後に公表する考えを示していた。
政府が事前公表に踏み切った背景には、国葬を巡る世論の受け止めが想定外だったこともある。読売新聞社が2~4日に実施した全国世論調査では、国葬決定を「評価しない」と回答した人が56%で、「評価する」の38%を上回った。
野党は国葬の費用がさらに膨らむ可能性があると疑惑の目を向ける。立憲民主党の安住淳国会対策委員長は、政府が式典経費で約2億5000万円の支出を既に決定していたことに触れ、記者団に「6・6倍に跳ね上がった」と指摘した。
ただ、今回の国葬に関する警備費(約8億円)や接遇費(約6億円)は、多数の海外要人が参列した2019年10月の「即位礼

正殿
(せいでん)の儀」での警備費(約38億円)、接遇費(約35億円)とは大きな差がある。
また、これらの費用は、通常予算から国葬関連の支出見込みを積み上げたもので、新たな予算措置は必要ない。今回の国葬は警備の日数や対象が限られ、政府関係者は「規模に応じた妥当な水準の費用だと、国民に丁寧に説明するに尽きる」としている。