繊維大手「クラボウ」(大阪市)の執行役員だった60歳代男性が、「本当に無能だ」などと部下に暴言を浴びせたとして、同社の社内調査でパワハラと認定されていたことがわかった。責任を問われ、昨年9月に執行役員を辞任した。被害を受けた元部下の40歳代男性は同社や元執行役員に660万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴している。
訴状によると、元執行役員は昨年2月以降、担当のシステム関係の部署で、部下で管理職の男性に「アホ」「ボケ」「辞めさせたるぞ」などと日常的に発言したほか、新入社員の前でも「本当に無能だ」と罵倒した。また、仕事中に男性の椅子を蹴ったり、「電話は3コール以内に出ろ」と
叱責
(しっせき)したりしたとしている。
会社側は男性から昨年8月に被害の申告を受け、社内調査でパワハラを認定。元執行役員は辞任を勧告されて受け入れた。その後、子会社で働いているという。一方、男性は同9月末で退職し、今年1月、「パワハラで退職に追い込まれた」として提訴した。
訴訟で、会社側はパワハラ行為の内容や辞任の事実関係はおおむね認めたが、「パワハラが原因で男性が退職したかどうかはわからない」と責任を争っている。
一方、元執行役員側は男性に対し、毎日のように罵声を浴びせたことはなく、「アホと使っていたとしても
蔑
(さげす)みの意味ではない」と反論。電話で3コール以内に出ることは他の部下にも求めていたとし、いずれも違法なパワハラとはいえないとして請求棄却を求めた。
男性は取材に対し、元執行役員から謝罪は受けていないとし、「謝罪や反省をしないまま、働き続けられる状況はおかしい。裁判でパワハラは許されない行為だと訴えたい」と話した。
クラボウの広報担当者は取材に「係争中の案件でコメントできない」とした。