東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で再逮捕=が、出版大手「KADOKAWA」が大会スポンサーに決まる約3年前、出版分野のスポンサー選定に関する計画を組織委側に持ちかけた疑いがあることが関係者への取材で判明した。元理事の知人の会社に「報酬」が入る内容だったという。KADOKAWAは選定後、この会社に賄賂とされる送金をしており、東京地検特捜部は元理事が早くから選定の謝礼を得ることを画策したとみている模様だ。
元理事の知人はコンサルティング会社「コモンズ2」(東京都中央区)社長の深見和政容疑者(73)=同容疑で逮捕。深見社長は大手広告会社「電通」の元幹部で、電通元専務の高橋元理事の後輩。2人の逮捕容疑は、共謀してKADOKAWA側からスポンサーに選定してもらいたいとの依頼を受け、便宜を図る見返りに2019年7月~21年1月に計約7600万円の賄賂を受け取ったとされる。
関係者によると、元理事はKADOKAWAがスポンサーに決まる約3年前の16年、自身が代表を務めるコンサル会社「コモンズ」(世田谷区)に組織委関係者を呼び出し、出版分野のスポンサー計画を提示。KADOKAWAと別の出版社の計2社がスポンサーになり、スポンサー料(協賛金)は計5億円程度という内容だったという。
さらに、元理事は電通時代に雑誌局長だった深見社長が2社と親しいと伝え、2社を合同のスポンサーでまとめられると説明。スポンサーが決まった際に、2社からコモンズ2に計1億円程度の「報酬」を支払う案も示したという。
特捜部は、元理事と面会した組織委関係者から任意で事情を聴いたところ、元理事からこうした計画が示されたと認めた模様だ。
一方、深見社長はKADOKAWAからスポンサーになりたいとの意向を聞いて元理事に伝達していたという。別の1社は元理事が交渉に関わったとされるが、最終的に辞退することになった。
KADOKAWAに対しては、深見社長がスポンサー契約に必要な費用について協賛金を含め3億5000万円と示し、スポンサーに選定された際は、うち7000万円程度をコモンズ2に報酬として支払う提案をしたという。KADOKAWAは19年4月に協賛金2億8000万円でスポンサーに選ばれた後、コモンズ2とスポーツ事業のコンサル契約を締結。コンサル料として、計約7600万円をコモンズ2に送金したとされる。
こうした経緯から、元理事の計画や深見社長の提案で協賛金とコンサル料の額が決まった疑いがあり、特捜部はコンサル料がスポンサー選定に対する謝礼で、2人が一体となって動いていたとみている模様だ。
関係者によると、容疑について元理事は特捜部の調べに「身に覚えがない」と供述し、深見社長も否認しているという。【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、島袋太輔】