東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で再逮捕=が出版大手「KADOKAWA」から受領したとされる約7600万円について、同社が当初、スポンサー選定の「コーディネートフィー」(調整料)として支払いを検討していたことが関係者への取材で判明した。その後、弁護士から「賄賂に当たる可能性がある」と指摘されてコンサルタント料に見直したが、東京地検特捜部は謝礼の趣旨を隠すための形式的な変更だったとみている模様だ。
元理事は知人のコンサルティング会社「コモンズ2」社長の深見和政容疑者(73)=同容疑で逮捕=と共謀し、KADOKAWA側からスポンサーに選定してもらいたいとの依頼を受け、便宜を図る見返りに2019年7月~21年1月に計約7600万円をコモンズ2の口座に送金させ、賄賂を受け取ったとされる。
関係者によると、深見社長はスポンサーになりたいKADOKAWAの意向を元理事に伝え、元理事は別の大手出版社を加えた2社を出版分野のスポンサーにしようと計画したとされる。スポンサー料(協賛金)は当初2社で計5億円の計画だったが、別の大手出版社が辞退しKADOKAWAが単体で3億5000万円を支払うことになった。同社は19年4月にスポンサーに決まり、組織委側への同社の窓口役とされる深見社長から、協賛金のうち7000万円程度を調整料として求められたという。
同社では、顧問の芳原世幸(よしはらとしゆき)(64)、社員の馬庭(まにわ)教二(63)の2容疑者=ともに贈賄容疑で逮捕=が当時の五輪担当として対応を検討。社内の弁護士は「みなし公務員」の元理事の存在を念頭に、調整料での契約は賄賂になる可能性があると指摘。これを受け、同社は五輪以外の「ラグビー」なども含めたコンサル料として契約し、計約7600万円をコモンズ2に送金したという。見直し後の契約は当時社長だった松原真樹副会長が最終決裁をしていた。
関係者によると、芳原顧問は贈賄容疑を否認し、馬庭社員は認めているという。KADOKAWA幹部は「コモンズ2からはスポーツ関連の(コンサル)報告書を受け取っているが、契約の体裁を整えたと疑われても仕方ない」と取材に答えた。【最上和喜、二村祐士朗、北村秀徳、秋丸生帆】