出版大手「KADOKAWA」を巡る捜査で、東京地検特捜部は元専務らとの共謀を認定し、会長の角川歴彦容疑者を逮捕した。会社幹部の供述や客観証拠に加え、創業家出身のトップであることにも注目。「権力は絶大で、賄賂の支払いを了承し実行を命じられる立場にある」(検察幹部)と判断したもようだ。
関係者によると、元専務の芳原世幸容疑者が、深見和政容疑者の経営するコンサルティング会社「コモンズ2」に対する計約7600万円の振り込みを、社内で決裁。五輪関連部署の担当室長、馬庭教二容疑者は、深見容疑者にスポンサー契約を結びたいという意向を直接伝えるなど「窓口役」だったという。
特捜部は、芳原、馬庭両容疑者を逮捕しKADOKAWAルートの本格解明に乗り出した6日に歴彦容疑者の自宅を家宅捜索しており、両容疑者との共謀を認定できるかが焦点の一つとなっていた。
歴彦容疑者は支払いを巡り、「私は決裁権がない」などと主張していた。だが、刑法上の共謀を認定するためには外形的な決裁権の有無ではなく「会社トップである歴彦容疑者の一存なしに物事を決定できないことの立証」(検察OB)がポイントとなる。特捜部は経営管理部門の幹部らも聴取。意思決定過程の解明も進めていた。
特捜部は、コモンズ2に対するコンサル料の支払いが始まる前の段階で「支払いを実行すれば贈賄容疑に抵触する可能性がある」との指摘がKADOKAWA社内でなされたことを確認。五輪関連事業以外の項目を付け足すなど契約内容が一部見直された経緯について注目していた。
歴彦容疑者がこの過程を把握していれば「賄賂性の認識を立証する上で、重要な間接証拠になりえる」と判断したもようだ。