プロ結婚詐欺師の正体は老婆だった 元警官がみた「結婚詐欺」の悲しい実態

詐欺にはさまざまな手口が存在します。最近は振り込め詐欺や給付金詐欺といった時代の流れに沿ったものが注目されていますが、古典的な手口を活用する「プロの詐欺師」もまだまだ健在です。 ターゲットを選定する嗅覚、相手をだますための下準備、磨きぬいたトークが活きるのは、新たな手口よりも古典的な手口かもしれません。 筆者が警察官として勤務していた際、実に様々な詐欺師たちと出会いました。あるプロ詐欺師が語った「結婚詐欺」の手口をはじめ、悲しい実態を紹介します。(ライター・鷹橋公宣) ●結婚詐欺を生業にしているプロ詐欺師の正体 結婚詐欺を専門にしているプロの詐欺師…。そう説明すると、どんな人物像を描くでしょうか? 男性なら、大企業に勤めていたり自分で事業を起こして成功していたりして金銭に余裕があり、清潔感があふれているのにどこかワイルドな人物。女性なら容姿端麗で、どこからか繊細な香りがするような人物。 いずれにしても、異性からみて誰もが「結婚したい」と憧れるような魅力的な人物でなければ、結婚詐欺なんて大それた犯罪は成し得ないと想像するでしょう。 しかし、私が知る結婚詐欺師の正体は、そのイメージとは正反対の人物像でした。 過去に複数の結婚詐欺を犯して検挙されてきた、ある意味では実績豊富なプロの結婚詐欺師。その正体はごく普通の「老婆」だったのです。 高齢なのに若々しくみえるといった特別な点はなく、きらびやかな生活を送っているわけでもありません。住まいは古びた公営住宅です。 彼女は、30歳代まではある暴力団員の愛人として囲われていましたが絶縁されてしまい、40歳代で初めて結婚詐欺で検挙され、以後、事件化されなかったものも含めて何件もの結婚詐欺を繰り返していました。 私が知ったときにはすでに80歳代に突入したのに、まだ同じ公営住宅に住む独身男性から結婚をエサに小銭を巻き上げていたのです。 被害者が事件化を望まなかったトラブルからその老婆と懇意になった私は「なぜこの老婆が結婚詐欺なんて難しい犯罪を遂行できるのか?」という点に興味がわきました。 茶菓子を手みやげに何度も通いつめて話を聞き、見えてきたのは「生活感」です。 彼女は、ターゲットに「結婚後の生活」をイメージさせる力に長けていました。「おかずを作りすぎたからおすそわけ」とか「男ひとりじゃ洗濯も掃除も大変でしょ?」などと言って接近し、相手の家に上がりこんでは押しかけ妻のようなことをしていたのです。
詐欺にはさまざまな手口が存在します。最近は振り込め詐欺や給付金詐欺といった時代の流れに沿ったものが注目されていますが、古典的な手口を活用する「プロの詐欺師」もまだまだ健在です。
ターゲットを選定する嗅覚、相手をだますための下準備、磨きぬいたトークが活きるのは、新たな手口よりも古典的な手口かもしれません。
筆者が警察官として勤務していた際、実に様々な詐欺師たちと出会いました。あるプロ詐欺師が語った「結婚詐欺」の手口をはじめ、悲しい実態を紹介します。(ライター・鷹橋公宣)
結婚詐欺を専門にしているプロの詐欺師…。そう説明すると、どんな人物像を描くでしょうか?
男性なら、大企業に勤めていたり自分で事業を起こして成功していたりして金銭に余裕があり、清潔感があふれているのにどこかワイルドな人物。女性なら容姿端麗で、どこからか繊細な香りがするような人物。
いずれにしても、異性からみて誰もが「結婚したい」と憧れるような魅力的な人物でなければ、結婚詐欺なんて大それた犯罪は成し得ないと想像するでしょう。
しかし、私が知る結婚詐欺師の正体は、そのイメージとは正反対の人物像でした。
過去に複数の結婚詐欺を犯して検挙されてきた、ある意味では実績豊富なプロの結婚詐欺師。その正体はごく普通の「老婆」だったのです。
高齢なのに若々しくみえるといった特別な点はなく、きらびやかな生活を送っているわけでもありません。住まいは古びた公営住宅です。
彼女は、30歳代まではある暴力団員の愛人として囲われていましたが絶縁されてしまい、40歳代で初めて結婚詐欺で検挙され、以後、事件化されなかったものも含めて何件もの結婚詐欺を繰り返していました。
私が知ったときにはすでに80歳代に突入したのに、まだ同じ公営住宅に住む独身男性から結婚をエサに小銭を巻き上げていたのです。
被害者が事件化を望まなかったトラブルからその老婆と懇意になった私は「なぜこの老婆が結婚詐欺なんて難しい犯罪を遂行できるのか?」という点に興味がわきました。
茶菓子を手みやげに何度も通いつめて話を聞き、見えてきたのは「生活感」です。
彼女は、ターゲットに「結婚後の生活」をイメージさせる力に長けていました。「おかずを作りすぎたからおすそわけ」とか「男ひとりじゃ洗濯も掃除も大変でしょ?」などと言って接近し、相手の家に上がりこんでは押しかけ妻のようなことをしていたのです。