鹿児島市付近に上陸した台風14号。気象庁は鹿児島県に出した暴風、波浪、高潮の特別警報に続き、18日は宮崎県に大雨の特別警報を出し「これまでに経験したことのないような」暴風や大雨などに「最大級の警戒」を呼びかけた。九州全域は台風の雲の渦の中に巻き込まれ、強い勢力を維持したまま3連休を直撃した最強クラスの台風に厳戒態勢が続いた。
17日に暴風などの特別警報が出た鹿児島県。18日未明に土砂災害警戒情報を出した屋久島町では午後1時過ぎ、県道の一部が崩れたとの一報が入った。町災害対策本部で情報収集に追われた総務課の笹川眞也さん(24)は「避難指示に多くが応じてくれ、町民全体に危機感が広がっている。大きな被害がなく台風が過ぎてほしい」と話した。
同県鹿屋市共栄町のパチンコ店「ロイヤルモナミ」では同日午前9時過ぎ、入り口の大きなガラスが突然割れた。台風に備えて泊まり込んでいた店長の羽子田(はねだ)秀人さん(59)にけがはなかったが「さらに台風が近づき、片付けにいくと危ないので、しばらく様子をみる」と不安げに話した。18日も店に泊まり込むという。
鹿児島市では午前9時ごろ、90代男性が風にあおられて転倒し、大腿(だいたい)部骨折の疑い。屋久島町では午前8時40分ごろ、勤務中の50代男性消防署員が、風で閉まった発電機室の扉に指をはさまれて骨折するなど鹿児島県内では計9人がけがをした。
18日に宮崎市や都城市などに大雨の特別警報が出た宮崎県では午後9時現在、五ケ瀬川や大淀川などで水位が上昇。計22カ所の観測所で氾濫危険水位を超え、緊張が高まった。
宮崎市の災害対策本部には18日午後8時現在、倒木や建物の外壁落下、住宅の窓ガラス破損など強風による被害が市民から次々と寄せられた。宮崎県内では強風にあおられ転倒するなど計7人がけがをした。
19日にかけて台風が接近する九州北部では、停電などに備えて食料品を買い込む人の姿もあった。同僚と福岡県に旅行に訪れた鹿児島市の女性(24)は昼過ぎに福岡市博多区のスーパーでカップ麺や弁当などを購入。「コンビニも早めに閉まると聞いたので、急いで買い出しに来た。今日はホテルで過ごそうと思う」とあきらめ顔で話した。
JR博多駅では払い戻しなどの利用客が列を作り、駅員は対応に追われた。
兵庫県芦屋市から熊本県合志市の自宅に向かっていた女性(84)は乗車予定だった九州新幹線が運休となり「博多から在来線で熊本に向かうしかない。行けるところまで行って孫に車で迎えにきてもらう」と疲れた様子で話した。
博多駅前のタクシー乗り場ではキャリーバッグを持った観光客らが長蛇の列を作った。千葉市から夫婦で九州旅行に来たという男性(61)は「大分に泊まる予定だったが、特急列車が動いていないので博多で足止め。台風が憎い」と肩を落とし、タクシーに乗りこんでいった。【梅山崇、塩月由香、城島勇人、河慧琳】