大型の台風14号は18日夜から19日朝に九州を縦断し、夜にかけて山口県から山陰沿岸、北陸沖へ進んだ。「強い」勢力ではなくなったが、20日朝に東北地方に進むとみられ、同日午後には温帯低気圧に変わる見込み。気象庁は広い範囲で大雨による土砂災害や河川の氾濫、暴風、高波、高潮に厳重に警戒するよう呼び掛けた。
同庁は17日夜に鹿児島県(奄美地方を除く)に出した暴風や波浪、高潮の特別警報を19日午前8時までに警報や注意報に切り替えたり、解除したりした。宮崎県の大半の地域に出していた大雨特別警報も午前11時に警報に切り替えた。黒良龍太予報課長は記者会見し、「本当に多くの雨が降っている。土砂災害は雨がやんだだいぶ後に起きることもあり、警戒を緩めないでほしい」と話した。
宮崎県都城市では19日、水没した車両内で男性会社員(68)が発見され死亡が確認されたほか、同県三股町では土砂崩れで男性(41)が死亡した。広島県廿日市市では、鶏小屋を見に行った男性(82)が行方不明となった。
総務省消防庁によると、台風による重傷者が佐賀県3人、愛媛、大分、宮崎各県で1人の計6人。軽傷者が中国と四国、九州で計51人。19日朝の時点では、九州で約27万世帯計約56万人に「緊急安全確保」が発令され、西日本で約430万世帯計約916万人に避難指示が出されていた。
東海では20日午前にかけ、発達した雨雲が連なる線状降水帯が発生する恐れがある。
愛媛県四国中央市では19日午前1時55分ごろに最大瞬間風速47.4メートルを観測。香川県東かがわ市では午前4時すぎまでの1時間に60.5ミリの非常に激しい雨が降った。宮崎県美郷町では15日午前0時の降り始めから19日午後4時までの総雨量が985ミリに上った。
14号は19日午後10時、京都府舞鶴市の北北西約100キロの海上を時速35キロで東北東へ進んだ。中心気圧は980ヘクトパスカル、最大風速30メートル、最大瞬間風速40メートル。北側280キロ以内と南側220キロ以内が風速25メートル以上の暴風域、東側750キロ以内と西側650キロ以内が風速15メートル以上の強風域。
20日に予想される最大瞬間風速は北陸と中国40メートル、北海道と東北、関東甲信、東海、近畿、四国35メートル。波の高さは近畿と中国8メートル、東海と九州北部7メートル、北海道と東北、関東、北陸6メートル。
21日午前0時までの24時間予想雨量は多い所で、東海200ミリ、東北と関東甲信、北陸150ミリ、北海道120ミリ、近畿100ミリ。
[時事通信社]