史上最強級の台風14号、「最も衰弱しやすいコース」進み温帯低気圧に

観測史上最強級に発達し、九州に上陸した台風14号は20日午前、温帯低気圧に変わった。台風のエネルギー源になる水蒸気の量が多い九州西方の海上ではなく、陸上を通過したことなどで勢いが弱まり、専門家は「結果的に最も衰弱しやすいコースを進んだとみられる」と指摘している。
台風は、中心気圧の数値が小さいほど勢力が強く、風水害のリスクが高まる。14日未明に小笠原諸島近海で発生した台風14号の当初の中心気圧は996ヘクト・パスカルだったが、上陸前の16~17日に急発達し、910ヘクト・パスカルまで成長。鹿児島市付近に上陸した18日夜の中心気圧は935ヘクト・パスカルで、第2室戸台風(1961年、925ヘクト・パスカル)や伊勢湾台風(59年、929ヘクト・パスカル)に匹敵する勢力となった。
しかし、九州北部に到達するまでに970ヘクト・パスカルとなり、19日夜には980ヘクト・パスカルまで衰えた。気象庁の

黒良
(くろら)龍太予報課長は同日の記者会見で、「予想していた最も東側のコースである陸上を進んだ結果、湿った空気の吸い込みが弱まったとみている」と説明した。
名古屋大の坪木和久教授(気象学)によると、東側のコースを進んだ理由を「太平洋高気圧の張り出しが弱かったことが影響した」と推測。「九州山地を越えるときに湿った空気に含まれる水蒸気が雨となり、乾いた空気を台風が取り込んだことも影響した可能性がある」と分析した。