27日に実施される安倍晋三元首相の国葬が間近に迫り、東京都千代田区の会場周辺では警察官の数も増え、緊張感が高まってきている。周辺の学校が当日、児童・生徒の登校を見合わせることも決まった。一方、通行規制の範囲などについて、近隣住民から戸惑いの声も漏れている。
同区北の丸公園の日本武道館では会場の設営準備が進む。22日夕に周辺を歩くと、武道館の周囲や献花台が設置される九段坂公園の付近には制服姿の警察官が複数立ち、周囲に目を光らせていた。
「(当日は)営業するべきかしないべきか、まだ決められないでいる」。会場近くの飲食店主は戸惑いの表情を浮かべた。
21日に警察から、献花する人を近くの歩道に並ばせると連絡があったが、人通りがどこまで規制されるか分からず、他の店主と「どうしようか」と話し合っているという。「(最寄りの)九段下駅周辺が規制されるなら客はゼロになる。困っている」と話した。
会場近隣の「九段二丁目町会」の小野里耕作町会長(72)も「警備上の都合で細かくは明かせないのか、当日の通行規制範囲ははっきりと伝えられていない」と話す。住民から当日の安全面などを不安がる声も寄せられているといい、「せめて近隣住民には当日の体制を早めに知らせてほしい」と漏らした。
こうした中で、会場周辺の学校は当日、児童・生徒の登校を見合わせるなどの対応をとる。会場周辺の区立小3校は午前中にオンライン授業、午後は休校とし、区立中1校は終日オンライン授業とする。幼稚園など3園は保護者に登園自粛を求める。
当日は大勢の弔問客が会場周辺を訪れると予想され、区は「学校や幼稚園に通う児童らの安全面を最優先する」としている。
また、当日は区の循環バスが会場付近を通る一部ルートで運休する。交通状況によってごみ回収に遅れが出る可能性もあるという。【加藤昌平、小林遥】