世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に関する霊感商法や高額献金問題などについて、旧統一教会は22日、東京都内の教団本部で記者会見を開き、コンプライアンスの徹底を図るため、教会改革推進本部を設置したことを発表した。また、安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(42)の家庭について、「1億円以上の献金があった。過度な献金だった」と認めた。
教会改革推進本部の勅使河原秀行・本部長は会見冒頭「銃撃事件以降、さまざまな報道を通じて世間を大変お騒がせしましたことを心からおわび申し上げます」と謝罪。「宗教法人が恨みを買うということはあってはならない。宗教の根本的な法人の在り方について議論を重ねてきた」とし、教会改革推進本部の設置とともに、平成21年のコンプライアンス宣言時の指導を再度徹底するという。
旧統一教会は21年にコンプライアンス宣言で「献金と先祖の因縁などを結び付ける献金奨励をしない」「信者の経済状況に比して過度な献金とならないよう配慮する」「伝道活動において家庭連合であることを明示する」としている。
教団は、今回新たに「過度の献金」の基準について、献金のために借金をするといったことを明示し、献金が信者の生活を圧迫することがないよう指導するとした。ただ、具体的にどのように過度と規定するかは「献金を受け取る際に家族の合意が取れているのかなどを確認するが詳細は決めていない」としている。
山上容疑者の母親が総額約1億円を献金したことについて、会見に同席した福本修也弁護士が「過度な献金だと思う。山上容疑者が経済的に苦しみ、こういう結果になったことは重く受け止めていかなければいけない」と述べた。
現在、政府の関係省庁連絡会議が合同の電話相談窓口を開設している。これに関連し、「返金請求や申し立てには誠意を尽くして対応し、自ら早期解決を図る。家庭連合に関しては家庭連合において責任をもって一件一件誠実に対応していく」と主張。事件以降、献金の返金を求めるケースが100件以上、脱会表明が数十件あると明かした。
しかし、教会側はコンプライアンス宣言以降、献金に絡む民事訴訟は4件あり、うち3件は和解し、1件は判決が出たと説明。和解額など総額約2740万円であるとし、「報道されている金額はミスリードしている金額。誠に遺憾」という姿勢を崩さなかった。