iPS血小板輸血、安全性確認 1年経過観察で副作用なし 京大

血液の成分の一つである血小板が減少する難病、再生不良性貧血の患者自身の血液から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り、さらに血小板に変化させて患者に輸血した臨床研究について、京都大の研究チームは30日、安全性を確認できたと発表した。輸血完了から1年間の経過観察で、特に問題となる副作用や事象は起こらなかった。実用化に向けての大きな一歩で、今後は有効性の確認やコスト低減を進めるという。
再生不良性貧血は、止血作用のある血小板などの減少で出血しやすくなり感染症にもかかりやすい。重度の場合の治療方法は献血で集めた血小板の輸血だが、特殊な免疫型の患者は拒絶反応が起きて輸血ができない課題があった。臨床研究はこの特殊な免疫型の患者を対象に行った。性別や年齢は明らかにしていない。
拒絶反応を防ぐため、患者自身の血液から末梢(まっしょう)血単核球という細胞を採取してiPS細胞を作製し、血小板に分化。令和元年5月から2年1月にかけて計3回、京都大付属病院で輸血した。最後の輸血から1年間にわたる経過観察では、特に問題となる副作用はなかった。
血小板数の増加はみられなかったが、輸血した血小板は通常より2・5倍大きかったため、血管中を循環していても、使用した測定機器では検出できなかった可能性があるという。
輸血の実施責任者を務めた高折(たかおり)晃史教授は「今回、安全性を確認することができたことは、実用化に向けて大きな一歩だ」と語り、研究全体を指揮する江藤浩之教授は「今後は有効性を確認し、コスト低減も図って早期の実用化を目指したい」と話した。
再生不良性貧血の国内患者数は約1万人とされる一方、献血の血液提供者は減少している。チームは京大が備蓄している健康な人のiPS細胞から血小板を作り、患者に輸血する手法も研究中で、今回の臨床研究の知見を役立てるという。