小笠原諸島の海底火山が噴火し、鹿児島県などに大量の軽石が流れ着いた問題で、これまで136カ所の漁港や海岸などで軽石が確認され、漁船50隻がエンジントラブルなどの被害を受けたことが、鹿児島県のまとめで明らかになった。漂着からまもなく1年。回収が必要な場所の6割超に当たる46カ所では、依然として作業中や未着手となっている。
「(9月中旬の)台風14号の後に小湊漁港にまた軽石が流れてきた。粒子が細かく、網ですくえないものもあった」。回収作業に当たった奄美市農林水産課の担当者が困惑気味に語った。
台風前、漁港にはなかった軽石が9月20日ごろ再び出現した。市職員らが4日がかりで9割近い軽石を除去。台風による高波で砂浜に残っていた軽石が再び漂流したり、海底や沖合にあったものが再び押し寄せたりしたとみられる。
21年8月、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火で放出された軽石は、2カ月後の10月10日に鹿児島県内の喜界島(喜界町)に大量漂着しているのが初確認された。一時は漁船が出漁できなかったり、フェリーが一部欠航したりして、観光や住民生活に大きな影響が出た。
県によると、台風14号上陸前の22年9月15日時点で、軽石の漂着や漁船被害は県内19市町村で確認された。回収が必要な場所に軽石が漂着したのは▽海岸34▽港湾、農地海岸各13▽漁港9▽船だまり場1――の計70カ所。このうち41カ所で回収作業を進めているが、1年たっても未着手が5カ所ある。台風通過後、被害はさらに膨らんだ可能性もある。
回収した軽石は土砂処分場などに埋め立てているものの、奄美市など8市町で少なくとも464トン、さらに1793立方メートルの軽石が、仮置き場に平積みされているのが実態だ。県危機管理課は「できるだけ早く回収を進めたい」としている。【宗岡敬介】