第一三共、毒物「アジ化ナトリウム」含む試薬紛失…品川の研究施設

製薬大手「第一三共」の研究施設「品川研究開発センター」(東京都品川区)で、毒物の「アジ化ナトリウム」の粉末入りの試薬を紛失していたことがわかった。第一三共が今月2日、警視庁品川署に届け出た。
同社によると、年2回の在庫点検を9月30日に行った際、同センターの薬品保管用の冷蔵庫から、アジ化ナトリウム約0・55ミリ・グラムを含む試薬の容器一つがなくなっていることが判明した。前回3月の点検時には異常はなかったという。
アジ化ナトリウムは毒劇物取締法で毒物に指定されている。無色無臭で、体内に入ると心拍数の低下や意識喪失などの症状が出て、命に危険が及ぶこともある。同社では、試薬の防腐剤として使用していた。
保管用の冷蔵庫は鍵がかけられ、鍵は暗証番号付きの箱で管理して、使用時に記録を残すルールだった。
同センターを巡っては、研究員の男(40)が妻にメタノールを飲ませて殺害したとして先月、殺人容疑で警視庁に逮捕されている。