速度超過の車に「神出鬼没」作戦 交通事故死ワースト2位の愛知

愛知県内の交通事故死者数が昨年より増加傾向にあり、全国で「ワースト2位」となっている。スピードの出し過ぎが原因の事故が目立つことから、県警は「可搬式オービス」と呼ばれる持ち運び可能な速度違反取り締まり装置を活用するなど、事故防止対策に乗り出している。
県警交通総務課によると、9月末の交通事故死者数は94人(前年同期比18人増)となり、全国では大阪府に次いでワースト2位の死者数となっている。
8月末までの事故を分析すると、死者87人のうち、16人が速度超過が原因とみられる事故で亡くなった。
今年3月には、豊田市八草町の有料道路「猿投グリーンロード」で乗用車が炎上し、19歳の大学生3人が死亡する事故が発生。スピードの出し過ぎによりスリップし、単独事故を起こしたとみられている。
可搬式オービス、少人数・省スペース
こうした背景もあり、県警は年末に向けて「ラストスパート2022」と称し、「速度抑制対策」を重点の一つに掲げた対策を打ち出した。
これまでは主に通学路での事故対策で活用されてきた可搬式オービスを、事故が多い幹線道路でも活用する。三脚を置くスペースさえあれば設置でき、少人数の警察官で対応できることから、平日は毎日、県内各地の幹線道路に「神出鬼没」で取り締まりを行う予定だ。今月3日には豊明市沓掛町の県道57号で、可搬式オービスを使った速度違反の取り締まりを実施した。
また、死者87人のうち18人は、横断歩道上で事故に巻き込まれた。そのため横断歩道での取り締まりも強化する。秋は日没と通勤・通学の時間帯が重なり、事故が増える傾向にあるため、夕方を中心に取り締まり、見通しが悪い交差点での車の徐行や自転車の一時停止にも目を光らせる方針。
県警交通総務課の八木智・交通事故対策官は「ドライバーは制限速度を守り、早めのライト点灯とこまめなハイビームとの切り替えを。歩行者も反射材を装着し、横断する時には今一度、安全確認をして」と注意を促している。【熊谷佐和子】