チョウザメの養殖研究に取り組む近畿大水産研究所新宮実験場(和歌山県新宮市)は、検査技術を独自に開発し、メスだけを生む「超メス」の存在を証明したと発表した。チョウザメの魚卵は高級食材のキャビアとして知られ、同大は「キャビアの生産の効率化につながる」と期待している。
チョウザメは生殖腺の発達が遅く、生まれてしばらくの間はオスとメスを判別できない。このため、性別が分かるまでの数年間は個体の半数を占めるオスも養殖する必要があり、キャビアの生産コストが高くつく傾向がある。
新宮実験場では2019年、チョウザメの稚魚に女性ホルモンを含む配合飼料を与え、全ての個体をメスに性転換させる実験に成功。キャビアの生産をさらに効率化しようと、
孵化
(ふか)の段階からメスだけを養殖できるよう研究を続けてきた。
チョウザメの性別を決める染色体は「Z」と「W」があり、オスは「ZZ」、メスは「ZW」と確認されている。一方、理論上はメスの子どもしか生まない超メス「WW」も存在すると考えられてきたが、検査技術が確立されておらず、これまで存在が証明されていなかった。
木南竜平助教と稲野俊直准教授の研究グループは今回、受精後間もない稚魚の一部をサンプリングし、染色体の組み合わせを調べる独自のPCR検査技術を開発。判定の結果、「WW」を持つ個体を確認した。
この検査技術で超メスだけを選別して飼育し、採卵に成功すれば、メスに絞った養殖が可能となり、キャビアの生産コストが大幅に削減される。
稲野准教授は「メスだけを孵化させる技術の確立に大きく前進した。将来的に生産コストが下がれば、消費者がより手にしやすい食材になるだろう」と話している。