児相が母親と信頼関係築けず 岡山5歳女児虐待死事件で報告書

岡山市で2021年9月、当時5歳だった西田真愛(まお)ちゃんが母親とその交際相手の男性から虐待され、その後死亡した事件で、市こども総合相談所(児童相談所)の対応を検証していた外部有識者会議は11日、再発防止策などをまとめた報告書を大森雅夫市長に提出した。事件の背景として、児相側が母親との信頼関係を築けず適切な支援ができなかったことや、交際相手による虐待の危険性を見抜けなかった問題点を指摘。警察や医療機関などと連携を密にすることや、児相職員の人員拡充などを求めている。
報告書などによると、21年9月、母親と交際相手(ともに逮捕監禁致死、強要の罪で起訴)は当時5歳だった真愛ちゃんに殴るなどの暴行を加えた上、空の両手鍋の中に長時間立たせるなどした。さらに、布団を巻き付けて放置し、真愛ちゃんは窒息による意識不明の状態で病院に搬送された。真愛ちゃんは、22年1月、6歳で死亡した。死因は低酸素脳症だった。児相には事件の2年以上前から虐待を疑う通告が寄せられていた。
会議は医師や弁護士らがメンバー。報告書によると、20年9月、母親と交際相手が真愛ちゃんを墓地に裸で立たせて叱責しているのを見た通行人が110番した際、警察が児相に「(交際相手から)報復がある可能性があり命が心配」「(真愛ちゃんのきょうだい)全員を保護してほしい」と伝えていた。だが児相は真愛ちゃんを2週間、一時保護しただけで自宅に帰した。この対応について「きょうだいの意見を十分に聞き取れなかった背景には児相の業務負担が過重で時間をかけて対応するのが難しい事情もあった」として、体制の強化を求めた。
また、この事案後も児相が「軽度の虐待」との判断を変えなかったことについては、弁護士への相談や警察との密な連携の必要性があったと指摘。児相が交際相手について踏み込んだ調査など有効な手段を講じなかったことを「適切ではなかった」と結論づけた。
再発防止策として、児相の児童福祉司1人当たりの担当ケース数に上限を設けることや、弁護士、精神科医などの助言を積極的に受ける仕組みの必要性などを挙げた。【平本泰章】