「羽田空港格納庫合同会社」(東京)が格納庫購入に伴って保管していた資金約1億円を私的に流用したとして、業務上横領罪に問われた元参院議員、山内俊夫被告(75)の初公判が14日、東京地裁(須田雄一裁判長)で開かれた。山内被告は、同罪の成立自体は争わないとした上で「私個人の用途に費消する目的は全くなかった」と、起訴内容を一部否認した。
検察側は冒頭陳述で、被告が平成30年3月ごろまでに投資会社「マルナカホールディングス」(高松市)の会長に格納庫の転売話を持ちかけ、合同会社を設立した上で購入資金などとして28億円をマルナカに拠出させたと指摘。預かった資金のうち1億100万円を、業務と関係のない不動産取引に流用したと述べた。
一方、弁護側は流用を認めた上で、格納庫の転売が難航し、資金繰りの悪化に対応するためだったと主張。マルナカの会長からは購入資金の使い道を一任されていたとし、量刑について争う姿勢を示した。
山内被告は香川県議を経て平成10年、自民党公認で参院議員に初当選。文部科学副大臣などを務め、22年に政界を引退した。