旧統一教会に初の「質問権」行使へ…霊視商法詐欺で解散命令受けた宗教法人の例も

政府は、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の問題を巡り、宗教法人法に基づく調査に踏み切る方針を固めた。同法が規定する「質問権」を初めて行使する。組織の実態を調べた上で、裁判所への解散命令請求の適否を判断する構えだ。
複数の政府関係者が明らかにした。岸田首相が17日午前に永岡文部科学相に調査を指示し、その後の衆院予算委員会で表明する方向で調整している。
同法は1996年の改正で、宗教法人に解散命令の請求などに該当する疑いがある場合、所管省庁が法人の業務や管理運営について報告を求めたり、質問したりできると規定された。
これまで、質問権が行使された例はない。政府・与党内には「憲法が保障する信教の自由を侵しかねない」との慎重意見もあったが、旧統一教会を巡っては、献金勧誘など組織的な不法行為が認定された民事裁判の判決もあることから、政府は詳しい調査が必要だと判断した。
永岡氏は、文部科学省の宗教法人審議会に調査の実施を諮問し、具体的な調査項目などについて意見を聞いた後、調査に入る方針だ。調査で法令違反などが確認されれば、所管省庁が裁判所に解散命令を請求する可能性がある。裁判所が解散を命令した場合、税制上の優遇を得られる宗教法人格が

剥奪
(はくだつ)される。
文化庁によると、問題行為を理由にした宗教法人への解散命令は、地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教と、霊視商法詐欺事件を起こした明覚寺(和歌山県)の2例しかない。
宗教法人法の質問権を巡っては、消費者庁が設置した霊感商法対策に関する有識者検討会で9月、運用改善や法改正の検討の必要性を指摘する意見が出た。同検討会は17日、解散命令請求に向け、同家庭連合の調査などを求める提言を公表する見通しだ。