福岡県内の特別養護老人ホームで働いていた元技能実習生のフィリピン人女性(26)が、妊娠を理由に帰国や退職を強要されたとして、ホームを運営する社会福祉法人と、元実習生をあっせんした大分市の監理団体などに慰謝料など621万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁行橋支部に起こした。12日付。
訴状では、女性は2019年9月に来日し、翌10月から介護業務に従事していた。21年4月に妊娠が判明し「母国で出産し、再来日して実習を続けたい」と産休取得を求めたが、「実習は終わりです」などとして認められなかったと主張。その後、本人の意思に反して帰国同意書に署名をさせられ、同8月末付での退職に追い込まれたとしている。
社会福祉法人の理事長は「訴状を見ておらず、コメントできない。彼女を大事にしなかったわけではない」と話し、監理団体は「答えられる人がいない」とした。
代理人弁護士や熊本市の支援団体が15日に記者会見し、フィリピンからオンラインで参加した女性は「正しい要求をしただけなのに、認められなかった。今回の提訴を受け、他の実習生がもっと意見を言えるようになってほしい」と述べた。