マスコット選んだ子どもたち「よくないことに利用、残念」 五輪汚職

東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で大会組織委員会の高橋治之元理事(78)は19日、大会マスコット「ミライトワ」(五輪)と「ソメイティ」(パラリンピック)のぬいぐるみ販売に絡んだ容疑で再逮捕された。両マスコットは五輪史上初めて、小学生による投票で選ばれた。投票権は各クラス1票。クラスで話し合い、このペアに「清き1票」を投じた子供たちからは事件を悲しむ声が聞かれた。
「デザインを考えた人や、このマスコットたちは何も悪くないのに、悪いニュースで取り上げられて可哀そう」。高校2年の女子生徒(16)=東京都板橋区=によると当時、クラスでは多数決で別のマスコット案に決まったが、自身はミライトワとソメイティを推していた。最終的には本人の希望通りになり、五輪・パラリンピックでの活躍がうれしかったという。
中学2年の女子生徒(13)=神奈川県鎌倉市=もクラスで話し合い、多数決でミライトワとソメイティに決めた。「みんなでよいデザインと決めた純粋な気持ちが、大人のよくないことに利用されたとしたら残念」と話した。
一方、ミライトワとソメイティをデザインしたイラストレーターの谷口亮さん(48)は「残念と言えば残念だが、マスコットには何ら罪はない」とあきれた様子で述べた。
大会閉幕から1年が過ぎたタイミングの悲報に、谷口さんは「玩具会社の現場の人たちはまじめに働いてくれていたと思う。上の方で賄賂があり、それがマスコット(が対象)だったということ」と割り切る。そして「投票してくれた子供たちには『ミライトワ、ソメイティは何も悪くないよ』と伝えたい」と話した。
市松模様のミライトワは、希望に満ちた未来を輝かせるように「未来」と「永遠(とわ)」を掛け合わせた名前。触角に桜をあしらったソメイティは「ソメイヨシノ」と英語で力強さを表現する「so mighty」を組み合わせて名付けられた。3案に絞られたマスコットの決選投票には、海外の日本人学校を含む小学校(計約28万学級)の約7割に当たる20万5755学級が参加し、ミライトワとソメイティが半数を超える10万9041票を得た。
新型コロナウイルスの感染拡大によって1年延期された大会は原則無観客で開催されたが、SNS(ネット交流サービス)上では、マスコットの存在がたびたび話題になって親しまれた。【村上正、伊藤一郎、松本晃】