野党にすり寄る政府、内閣支持率下落に歯止めかからず…「被害者救済」など協調で打開図る

政府・自民党が、総合経済対策や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者を救済するための法整備を巡り、野党に協調を働きかける動きが目立っている。一部野党の取り込みを狙う岸田首相に対し、立憲民主党などは与野党協議を通じて政権弱体化を際立たせたい考えで、双方の駆け引きが活発化している。
首相は21日、国会内で、日本維新の会の馬場代表から経済対策の提言を受け取り、「できる部分は取り入れていく」と述べ、政府の対策に一部採用する考えを示した。提言は物価高騰対策として総額18兆円規模の対策を求めている。20日にも、首相は国民民主党の玉木代表から経済対策の申し入れを受けた。
旧統一教会の被害者救済策を巡る自民、公明、立民、維新の4党の協議会と、国葬のあり方を検討する各党協議会も、自民が野党の設置要求に応じたものだ。
首相には与野党協調の機運を高めて野党の追及を鈍らせるとともに、総合経済対策を盛り込んだ2022年度第2次補正予算案への一部野党の賛成を取り付ける思惑がある。旧統一教会を巡る問題で内閣支持率の下落に歯止めがかからず、野党への「すり寄り」で事態を打開したい考えだ。
一方、野党は自らの主張を政策に反映させる場を「政府・与党だけでは政策を実現できない」とのアピール材料とすることを狙っており、首相の思惑通りに政権浮揚につながるかどうかは不透明だ。
さらに、旧統一教会の被害者救済策を議論する協議会は難航も予想される。

焦点となるのが、立民と維新が共同提出した法案の柱となっている「第三者による取り消し」制度だ。マインドコントロール下の高額の寄付や契約について、裁判所が認めれば家族による取り消しも可能にする。
21日の4党協議初会合で立民の長妻政調会長は、この法案について「全体をのみ込んでほしい」と求めた。
だが、政府は「本人の同意なく憲法上の財産権が制約され、人権侵害となる可能性がある」(松野官房長官)として、受け入れには否定的だ。立民が本丸とする条項を受け入れなければ、合意形成は容易ではない。
政府は、与野党協議が長引けば結論を待たずに関連法案を提出することも検討している。政府・自民内には「政府が受け入れられない案をあえて提示し、政府が救済に後ろ向きだと批判する戦略なのではないか」といぶかる向きもある。