熊本市立中学1年の男子生徒が2019年4月に自殺した原因を調査していた同市の第三者委員会は24日、小学6年時の担任教諭の不適切な指導が抑うつ状態の発症に強く影響した可能性が高く、自殺の一因となったと考えられるとする報告書を公表した。小学校側は生徒が卒業直前、ノートに「死」や「絶望」などと書いていたことを保護者に伝えておらず、連携していれば医療機関で対応できた可能性を指摘した。
市教育委員会によると、生徒は19年4月、自宅マンションで自殺した。第三者委は原因の調査を求める遺族の意向を受け、市が設置した。
報告書によると、6年時の担任教諭は教え子の胸ぐらをつかみ、「バカ」「アホ」といった暴言を繰り返すなどしていた。亡くなった生徒はこうした様子を間近で目撃したり、自身も直接叱られたりして相当のストレスがかかっていたと指摘。遅くとも卒業前の時点では重篤な抑うつ状態にあったとし、「教諭の不適切な指導が影響した蓋然性が高い」と認定した。
市教委は自殺後、教諭がこのクラス内外で体罰や暴言、不適切な指導を40件行ったと認定している。今回の報告書では「(不適切な指導を)是正させていれば、発症や悪化を防げた可能性がある」とした。
このほか、小学校側は「死」「絶望」「呪」と書かれた生徒直筆のノートの存在を知りながら、「心配させるので見守ろう」と判断し、保護者や市教委への連絡を怠っていた。第三者委は「伝えておけば医療機関の受診につながった」とし、自殺を防げた可能性があったとした。
また、第三者委は、市教委による調査報告書の作成が20年3月と自殺から約1年を要したことも問題視。市教委の報告書は、自殺の背景にも触れておらず、「遺族の心情にも配慮していない」と断じた。
報告書を受け、市教委は当時の担任教諭の処分を検討している。大西一史市長は「心の変化を学校現場が捉えられず、不適切な教諭の指導にも対応できなかったのが原因だ。子どもの変化を捉えるため、命を預かる強い自覚が必要だ」と述べ、対応策を検討する考えを示した。