王将社長射殺 工藤会系組幹部の受刑者を逮捕 京都府警

中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん=当時(72)=が平成25年、京都市山科区の本社前で射殺された事件で、京都府警山科署捜査本部が特定危険指定暴力団工藤会系幹部、田中幸雄受刑者(56)=収監中=を殺人と銃刀法違反容疑で逮捕したことが28日、捜査関係者への取材で分かった。田中容疑者は別の事件で福岡刑務所に服役しており、府警は身柄を京都まで移送する。
上場企業トップが標的にされた事件発生から間もなく9年。背後関係を含め全容解明につながるかどうかが焦点だ。
事件は25年12月19日午前5時45分ごろ、王将フードサービス本社前の駐車場で発生。出勤してきた大東さんは車を止めて降りた直後、25口径の拳銃で4発、至近距離から撃たれたとみられ、午前6時ごろに死亡した。
現場近くでは、たばこの吸い殻も発見されており、DNA型鑑定した結果、田中容疑者と一致し、府警が裏付けを進めていた。
捜査関係者によると、これまでの捜査で大東さんや会社との接点は確認されていない。府警は何者かに依頼された疑いもあるとみて慎重に捜査を進める。
府警はこれまでに、現場から北東数キロの山科区内のマンション駐輪場で乗り捨てられた盗難オートバイを押収。ハンドルから硝煙反応が検出されたことから、実行犯が大東さんを射殺した後、逃走に使用した可能性があるとみて調べていた。
また、現場近くの防犯カメラには事件前、別の盗難ミニバイクと並走する不審な乗用車も確認されていた。このミニバイクも硝煙反応のあったバイクの近くで押収されており、府警は組織的な犯行の可能性もあるとみて、捜査を進めていた。
田中容疑者は20年1月に別の工藤会系の元組員らと共謀して福岡市内で、大手ゼネコン「大林組」の従業員ら3人が乗った乗用車を銃撃したとして、30年6月に逮捕され、令和元年11月に福岡地裁で銃刀法違反などの罪で懲役10年の実刑判決を受けている。