王将社長射殺逮捕 会見詳報 執念の8年10カ月 容疑者逮捕も「共犯者、指示役がいる」

中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん=当時(72)=が射殺された事件で、殺人と銃刀法違反容疑で特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)系組幹部、田中幸雄容疑者(56)=別事件で服役中=が28日、逮捕された。京都府警は同日午後11時から、京都市上京区の府警本部で記者会見を開き、今後の捜査の方針などを説明した。
《上場企業の名物社長が射殺されるという衝撃的な事件から8年10カ月。容疑者の逮捕を受け、会見場には50人を超える報道陣が詰めかけた。午後11時、京都府警の中野崇嗣(たかし)刑事部長がいくぶん緊張した表情で切り出した》
本日午後2時14分、福岡県下において、本件被疑者、田中幸雄を逮捕した。改めて、亡くなられた被害者のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族、会社関係者の方々に心よりお見舞い申し上げます。引き続き捜査を推進し、被疑者の背後関係を含め、事実の究明に邁進(まいしん)する所存です。
《会見には中野刑事部長のほかに、京都府警の増田茂雄捜査1課長と村山三鶴・山科署長、福岡県警の山内健次・暴力団犯罪捜査課長の姿があった。会見では山科署捜査本部を解散し、新たに両府県警の合同捜査本部を設置したことが明らかになった。主に増田捜査1課長が報道陣の質問に回答する形で会見が進んだ(以下、無記名は増田捜査1課長の発言)》
--容疑者特定、逮捕の決め手は
「現場を中心とした防犯カメラ捜査を含めた聞き込み捜査など所要の捜査を推進、収集・鑑定を一つずつ積み重ね、特定に至った」
--逮捕に至った思い
「発生当初から、歴代の捜査1課長を筆頭に、捜査員が地道に足で稼ぐ聞き込み調査を中心に、現場から広範囲に広げて一つずつ情報収集を積み重ねた。これまでのたゆまぬ捜査が実を結んだ」
--容疑者の認否は
「今後の捜査に多大な影響を及ぼす恐れがある。差し控える」
《大東さんと田中容疑者の関係など報道陣の質問は多岐にわたったが、増田1課長は慎重な言い回しに終始した》
--大東さんと容疑者の接点は
「捜査の重要事項だ。証拠の中身にも関わる。回答を差し控える」
--捜査が長期化した要因は
「詳しくは言えないが、情報や証拠、資料を多角的な視点で見直した。使えるか使えないか。そういったことを積み重ねて、相当な期間がかかった」
--「背後関係の解明を進める」の意味合いは
《事件の核心ともいえる質問が飛んだ》
中野刑事部長「今回の容疑者は、実行犯という位置付けで考えている。これから捜査するが、共犯者、指示役がいることも視野に入れながら捜査していく」
《福岡県に拠点を置く工藤会系組幹部が逮捕され、今後の捜査では、工藤会の組織的関与の有無が大きな焦点だ。平成28年に同社の第三者委員会が公表した不適切取引にも注目が集まる》
--京都と福岡の役割分担は
「こつこつと捜査を進めて行き着いた。被疑者(容疑者)が工藤会組員だった。福岡で捜査するときは京都府警からも捜査員を出すが、工藤会にはなじみがない。福岡県警の知見、力をいただきながら捜査していく」
山内・暴力団犯罪捜査課長「工藤会との関連は今後の捜査で明らかにしていく。地の利があるので、京都府警とともに全容解明に全力をあげる」
--会社の不透明な資金の動きとの関連性は
「動機を捜査する上で、社長という身分は関係していると考えている。経営実態については捜査しているが、関連性はこれからだ」
--これまで投入した捜査員の人数は
「きょう(10月28日)付けで、延べ26万1200人」
《3200日余りに及んだ京都府警が積み重ねた地道な捜査が、真相解明への重い扉を開いた。会見は開始から約40分で終了した》