沖縄県教育庁などが27日に発表した2021年度児童生徒の問題行動・不登校調査の結果は、小中学生の不登校が過去最多となった。新型コロナウイルスの影響で臨時休校や出席停止が相次ぎ、生活リズムが乱れたことが一因。子どもたちの心身に大きな影響を与えた可能性もあり、専門家は「学校が居場所と思える取り組みが大切だ」と指摘する。(社会部・下里潤)
「学校には行きたくない」。本島中部の40代男性は、小学生の息子からそう告げられ頭の中が真っ白になった。第5波で県全体の感染者数が爆発的に増え、子どもの感染も急増した昨年秋のことだった。
家族5人全員が陽性に。息子はただでさえ夏休みが延長された後、濃厚接触や感染で20日近くも学校を休み、学習が遅れている様子だった。
息子に行きたくない理由を聞いても「面白くない」の一点張り。しばらくして登校を再開したが、「運動会の中止や給食の黙食などあらゆる行動が制限され、子どもなりにストレスを感じていたのだと思う」と振り返る。
県教育庁の担当者は不登校の増加は「コロナの影響が大きい」と分析する。マスク姿でコミュニケーションが取りにくいなど学校になじめない子や、家庭の経済状況が悪化し不安感や無気力感を覚える場合もあるという。
一方で「不登校は問題行動ではない」とも強調。17年施行の教育機会確保法で不登校の児童生徒には休養が必要とされていることを挙げ「かつてのように無理に学校へ連れてくるのではなく、子どもの状況に応じて休ませるのも選択肢。フリースクールに通わせるなど、保護者の考えも多様化している」と説明した。