射程1000キロ超に延伸、国産「高速滑空弾」 反撃能力を多様化、抑止力も強化へ 「甲板も貫通の『空母キラー』」世良光弘氏

政府が、沖縄県・尖閣諸島など島嶼(とうしょ)防衛用の新型ミサイルとして配備を目指す国産の「高速滑空弾」の射程を1000キロ超に延伸する改良を検討している。共同通信が30日、複数の政府関係者が明らかにしたとして配信した。政府は、米長距離巡航ミサイル「トマホーク」の購入にも動いている。「台湾有事」や「朝鮮半島有事」に備え、反撃能力(敵基地攻撃能力)の手段を多様化し、抑止力を強化する構えだ。

高速滑空弾は、地上発射装置から打ち上げたロケットから、空気抵抗の少ない大気圏上層で弾頭部分が分離し、超音速でグライダーのように滑空して目標を攻撃する新型ミサイルで、従来の方法で迎撃が困難とされる。
関係者によると、2018年度に研究を開始した「早期装備型」は来年度から量産し、26年度ごろに配備する予定で、射程は数百キロ程度となる。「性能向上型」はロケット部分を大型化するなどして射程を千数百キロ程度に延伸する。
国産長射程ミサイルの改良をめぐっては、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」を延伸し、敵の射程圏外から攻撃する「スタンドオフ防衛能力」として整備する方針を固めている。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「高速滑空弾の性能向上型は、島嶼部の上陸部隊や艦艇をターゲットにしている。空母の甲板を貫通する弾頭を搭載でき『空母キラー』ともいわれる。延伸によって、九州や沖縄から大陸にも到達する。『台湾有事』を想定し、計画を急ピッチに進めたかたちではないか。国産型の改良は発射装置の整備も、外国製と比べて容易になるメリットがある」と語った。