大阪府藤井寺市で、市立中学校の2021年度の教科書選定に現職校長として関わり、教科書会社に便宜を図った見返りに現金を受け取ったとして、大阪府警は2日、元校長(61)(大阪府松原市、退職)を加重収賄容疑、教科書会社「大日本図書」(東京)の元取締役(65)(同府富田林市)ら2人を贈賄容疑で書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。教科書選定を巡る贈収賄事件の摘発は異例。
他に贈賄容疑で書類送検したのは、同社関西支社社員(35)(奈良県大和高田市)。府警は3人に起訴を求める意見をつけたとみられる。
小中学校の教科書選定は教科書無償措置法などに規定されており、原則4年ごとに行われる。主に3段階あり、〈1〉教員らが各社の教科書の特徴をまとめた資料を作成する〈2〉校長らで作る「選定委員会」が候補を数社に絞る〈3〉教育委員会で教育長らが多数決で採択する――の手順で実施される。
捜査関係者によると、元校長は藤井寺市立中学校3校の教科書の選定委員だった20年4~7月の間、元取締役らから依頼を受け、21年度から使われる理科と数学、保健体育で同社の教科書が候補に残るよう便宜を図った見返りに現金数万円を受け取ったほか、ゴルフや飲食の接待を受けた疑い。同社は3教科で候補となり、教育委員会で数学と保健体育が採択された。
市立中学3校の生徒数は1451人(21年度)。選定委員会のメンバーは計9人で、元校長は20年4月から務めていた。同市の中学校で使われていた大日本図書の教科書は当時、保健体育だけだった。
元校長は今年3月末に退職、元取締役は10月に辞任している。元校長は読売新聞の取材に応じておらず、元取締役は「対応できない」と述べた。
大日本図書は1890年創業。小中学校の教科書出版事業が中心で、理科のシェア(占有率)が高く、小学校は業界トップ。今年9月には同社の営業担当幹部らが茨城県
五霞町
(ごかまち)の教育長を接待していた問題が判明している。
教科書会社による過度な営業は過去にも問題になっており、2016年に教科書協会が自主ルールを強化し、採択関係者への接待や金品の提供など一切の利益供与を禁じるルールを定めていた。