世界で猛威を振るう身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」による病院などの医療機関を狙ったサイバー攻撃が多発している。大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)での被害は確認されてから7日で1週間。一度被害に遭えば被害の把握から復旧までに膨大な時間がかかるため、診療業務や患者の生命にまで大きな影響が生じるおそれがある。国内だけではなく海外でも頻発しており、各国で警戒を強めている。
ランサムウエアは、電子カルテなどのデータを暗号化して使用できなくし、復旧する代わりに金銭を要求するサイバー攻撃の手口だ。昨年10月には徳島県の町立病院がサイバー攻撃に遭い、患者の電子カルテが2カ月間見られなくなる被害があった。
警察庁によると、国内でのランサムウエアによる被害報告は、令和4年上半期(1~6月)は30都道府県で114件あった。そのうち医療・福祉関係の被害は9件だった。統計を取り始めた2年下半期の3件、3年の5件と比べても増加している。
国内だけではなく、医療機関へのサイバー攻撃は海外でも頻発。米国では10月、米大手病院チェーンがランサムウエアによる攻撃で、全国で手術が遅れたり、患者のケアが滞ったりするなどの被害が確認された。フランスでも8月、1000床を抱える病院がランサムウエアによる攻撃を受け、患者を移送したり、手術を延期するなどの事態となった。
米連邦捜査局(FBI)などは7月に北朝鮮のハッカーがランサムウエアで病院を狙っていると警鐘を鳴らしたほか、10月には、米国内のランサムウエアの被害報告のうち25%は公衆衛生関連だったと公表。21年には重要インフラ業界の中で、ランサムウエアの報告が最も多かったのは医療・公衆衛生部門で649件中148件に上ったとした。
英国のセキュリティー企業「ソフォス」の調査によると、昨年の医療機関へのランサムウエアによる被害は20年に比べて倍増。医療機関は支払額は少ないが、身代金を支払う可能性が最も多かったとしている。